新井由木子【まだたべ】vol.036 映画会の猫の巻

いつだってかまってほしい。だって家族だもん。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 楽しい時は瞬く間に過ぎ、苦痛の時間は瀕死のカタツムリのごとくノロノロジワジワと進む。誰にでも経験のあることですね。しかし、もっと強烈に感動したり呼吸も止まるほどに驚いたりする場面では、時間は止まったかのように、その一瞬ずつを切り取り、連続する精緻な絵のようにコマ送りで、その事実をありありとわたしたちに見せてくれるものです。

 さて、娘と猫2匹とわたしという、全員かわいいメンバーで構成された我が家のつつましい楽しみは、居間に集まって映画を観ることです。月に一度あるか無いかの映画会。食卓を移動したり、お菓子やお酒を並べたりと映画会の準備をしていると、猫たちもイソイソと集まってきます。そして映画の間中、空いている手で撫でろとか猫用のおもちゃを振り回せとか主張しながら、一緒の時間を楽しみます。

 と、ほっこりとしたようなことを書きましたが、そこで選ばれる映画はいつも、ホラーに激しく偏っています。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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