新井由木子【まだたべ】vol.039 恐怖!! コンバーションの眠れなかった夜の巻

人々が体験した“怖い話”を集めるのも、ライフワークのひとつという新井さん。ではもしや今回の話も……? “まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 わたしの営む書店ペレカスブックはカフェコンバーションの中にあります。
 いつも自分のことをスゴイと言っている(まだたべvol.020参照)カフェコンバーションの店主(以下コンバーション)ですが、彼女は意外にも怖がりです。
 ハエは素手で仕留めるくせに、バッタなどの類がダメ。脚がわさわさとしっかり生えているものが怖いらしいのです。いつだったか、お手洗いにどこからかバッタが迷い込み、大騒ぎになったことがあります。コンバーションが、わたしを呼び立てて始末しろと言うのですが、わたしは手を貸しませんでした。
 すると、
「新井さんのくせにバッタを怖がるなんて生意気だ」
 と言い出し、しまいには
「バッタを怖がるなんて新井さんのキャラクターに全然似合わない」
 と、涙を流しながら怒るのです。
 心外です。
 わたしはバッタが怖くて手を貸さなかった訳ではありません。バッタなど素手でつかめます。ただ、普段パスタを400gも食べる元気な人が、小さな虫に怯えているのが面白かったので、それを楽しんでいただけなのです。

 バッタ以外にも、年に数度、コンバーションが怯えているところを見ることがあります。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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