新井由木子【まだたべ】vol.044 島の雨の巻

雨の日、どんな思い出がありますか? “まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 六月に帰郷すると、式根島には梅雨らしい雨がザアザアと降っていました。
 降り注いだ雨は島のコンクリートの道に集まり、海まで流れていきます。それは、普段真水の得られない小さな島に、いきなり現れる川です。急な坂道ではそのまま急流に、透き通って冷たい雨水そのものの、きれいな浅い川。
 子どもの頃にはこのできたての川にビーチサンダルのまま入り、笹の小舟を浮かべて海まで追いかけていくのが楽しみでした。場所によっては、流れの上に透明な青海波を双方向から重ね合わせたような模様ができているのに驚いたり、落ち葉溜まりがダムを作って小舟の行く手を阻むのがスリルだったりする、今思えば贅沢な遊びなのでした。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
連載はこちら

 

文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

この連載のバックナンバー

▼ もっと見る