新井由木子【まだたべ】vol.050 記憶の本の巻

連載担当者も新井さんに体験談をお話したことがあります。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 草加のカフェコンバーションのレトロチックなガラスの扉を開くと、すぐ左手にアルミの板でできた猫と魚の合体した看板があります。
 そこにある入口を入ると、表紙が見えるように絵本を並べられる壁と、特製の本棚で囲まれた空間になっており、そこがわたしの営むペレカスブックです。
 本棚の他にも、使えなくなったスピーカーや、取り壊し現場から運ばれてきた重厚な木のスツール、昔の医院にあった薬棚の下半分、茶箱や学校の下駄箱など、古いものばかりが配置されており、そのあちこちに本を並べています。

 入口付近には、気軽にお店に入っていただけるよう、読みやすいエッセイやプレゼントに良い本など、女子のハートをつかむ可愛いものを置いています。
 その隣には、カフェにいらっしゃる食いしん坊の方々のために準備した食べ物に関する本があり、その隣が絵本と、大人もハマる児童文学。それからペレカスブックにずっと置くと決めた珠玉の文庫たち。
 そしてその隣がエドワード・ゴーリーなどの少し暗い絵本や小説、更に民俗学や人文学ぽいものと並んでいきます。つまり、入りやすい入口から、奥に行くにつれて内容が濃くなっていく仕組みです。
 そして行き止まりの、わたしが座るレジの一番近くにあるのが、『記憶の本』です。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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