新井由木子【まだたべ】vol.051 草加の帰り道の巻

今日も“道”は、そこを通るたくさんの人の新たな思い出を作りながら、静かに存在しています。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 その昔、草加は、江戸と日光を結ぶ直線上にありながら、日光街道は草加を大きく避けて造られていました。草加の辺り一帯が湿地帯で、道を造るのが困難だったためです。
 街道を整備し草加の名がつけられた起源は、次々に発見される歴史資料や専門分野からの見識により、いくつかの説があります。民話的なものから、検証を重ねられつつある説まで色々ですが、いずれにせよ、たくさんの人々がここで生き、力を合わせて街の存続のために汗を流したことは、街道のそこここに実際に見てとれます。
 草加馬車鉄道の跡(まだたべvol.047参照)、何度も植え替えられたという松並木、お店の名前に残る大正時代の賑やかさ(まだたべvol.031参照)などなど。
 どの時代にも、人々の確かな時間があったことが、リアルに感じられます。

 歴史を勉強するにつれて、どんどん好きになる草加宿場町通り。気がつけば、わたしの過ごしてきた草加での時間の中には、常に生活道路である宿場町通りがあるのでした。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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