新井由木子【まだたべ】vol.056 ボロ儲けの巻

ボロ儲けからの、憧れのリッチな暮らし。皮算用している時が一番楽しいのかもしれません。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 草加のバル・スバルの女性店主(以下スバル)と、ある打ち合わせをしていた時のこと。スバルがポツリと呟いたのです。
「わたし、ボロ儲けがしたいんですよ」
 人からそんな欲望丸出しの本音を聞くのは稀なことで、わたしはびっくりしてしまいました。なおもスバルが言うには
「ウチの庭に夏みかんとシークヮーサーがなっていて、それでシロップをつくってお店で出せば、原価がかからずボロ儲けなんです」
 わたしは更にびっくりしました。あまりにも小さなボロ儲けです! 
 炭酸代やアルコール代、仕込みの労力や提供する人件費はがっちりかかっているはずです。
 しかし塵も積もれば山となると言いますから、いずれスバルは自宅の夏みかんで豪邸を建てるつもりなのかもしれません。

 そんな話をカフェコンバーション店主(以下コンバーション)に報告すると
「わたしだってボロ儲けしたいわ!」
 と叫びました。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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