新井由木子【まだたべ】vol.059 鬼とケルベロスと般若の巻

「鬼」「ケルベロス」「般若」……想像するだけで怖そうなものが並んだタイトルですが、果たして。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 ある人がわたしに対してたいへん怒っていると聞いて、わたしはお詫びに出かけていきました。
 とあるイベントを計画し、関係者各位にご挨拶をした際、「ここから先は書面でのご挨拶が良いだろう」と勝手に判断したのがよくなかった上に、文面でのご説明も言葉が足りていなかった、というのが原因でした。
 その日、うららかな日差しと同様に、しっかり叱られようと覚悟しているわたしの心は穏やかでした。というのは、今までの人生でさんざん怒られてきた経験から、人とはいくら怒っていても、心からお詫びをすれば許してくれる存在だと思っていたからです。
 怒りの向こうには、ミスをしたわたしに与えられるべき教訓が必ずやあり、わたしを励ましてくれる気持ちも必ずや見られ、最後には許していただけるものだと、わたしはどこか呑気に高をくくっていたのでした。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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