新井由木子【まだたべ】vol.060 忘れ物の巻

ちょっと忘れてるぐらいのほうが、人間味があっていいなあと思いますが、当事者はそう思うとは限りませんね。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 先日、母が上京してきた時のことです。
 食事の後、母が取り出したプラスチックの小瓶に入っていたのは、健康補助のためのサプリメント。ただし、様々な種類のものが一緒に入っています。
 普段、自宅ではそれぞれのサプリメントの瓶に入っているのでしょうが、上京にあたって、数日分を1瓶にまとめてきたようでした。その中から、母は貝殻のような白色の、楕円形の粒を選び出しました。
「これは骨が丈夫になるカルシウム。お菓子みたいで美味しいよ」
 わざわざわたしに説明し、そして、1、2、3と3粒数えて、口に入れました。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
連載はこちら

 

文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

この連載のバックナンバー

▼ もっと見る