新井由木子【まだたべ】vol.061 大人の言うことを聞いたほうがいいか聞かないほうがいいかの巻

大人が助言をするのは、子どもよりも少し早く、似たようなことを経験してきたからなんだなあ、と大人になるとわかるものですが、子ども時代の経験もあるから、やりたいようにやっちゃう気持ちもわかる。大人って、オトナだなあ。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 昔、祖母がお菓子の缶を見せて
「これには絶対触ってはいけないよ」
 と言って、それをそのままわたしの見ている前で、子どもの手の届かない棚の上に片付けました。
 それはきっと、子どもにおもちゃにされたら困る、何かとても良いものに違いない。
 そう思ったわたしは、祖母が見ていない隙に椅子を運び、それを踏み台にして棚に手を伸ばしました。缶には蓋がなかったので、そのまま中を手で探ってみたのですが、何が入っているのかわかりません。
 そこで両手で缶を下ろし覗いてみると、中にあったのは大量の使い捨てカミソリの刃でした。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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