新井由木子【まだたべ】vol.062 眠気に勝つの巻

どうしようもなく睡魔に襲われることは、大人になってもありますよね。そんなとき、あなたならどうする? “まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 あれはわたしが高校生の頃のこと。ある授業中にわたしを襲った眠気は、どうにも抵抗できないほどの凄まじいものでした。
 それは物理の時間でした。教壇では先生が、ブラックホールの説明をしていました。
 年配の男性の先生はとても小柄で、つるんとした顔に小さい目をしており、お話する声もとても小さいので、印象が薄く感じるのですが、よく観察してみると、頭髪は寂しくなっているのに耳からは逞しい毛がボサッと生えていました。一見、特徴が無さそうに見えて実は特徴があるというギャップが面白いのと、柔和な目がいつも微笑んでいるような優しい雰囲気から、わたしはこの先生に好感を持っていました。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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