新井由木子【まだたべ】vol.064 草加の小さな神社の小さなお祭りの巻

近所の神社といえば、子どもたちの遊び場のひとつでしたよね。そんな懐かしい風景を思い出す大人も多いのでは。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 その小路は父の生まれた草加にありながら、不思議と母方の祖父母の住んでいた伊豆諸島の新島を思わせる、懐かしさがありました。
 少し湾曲した道の両側に並ぶ、古びた民家とくすんだコンクリートの塀。そこから見える空にビルディングなど都会の建物の気配がどこにもないところ。そして、その小路の脇にある古びた神社の、草ぼうぼうで地面がでこぼこで、これもいかにも新島にありそうな場所に、幼い娘と散歩がてら立ち寄るのが楽しみだったものでした。
 娘は小さな祠(ほこら)の前で
「あそばせてください」
 と言いながら柏手を打ち、草はらに埋もれている石の上をピョンピョンと飛び跳ねていました。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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