新井由木子【まだたべ】vol.066 お友達になってくださいの巻

現実の世界とネットを介した世界。それぞれの世界での“友達”ってどんな存在なのでしょうか。“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がないイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 SNSには『友達申請』という残酷なシステムがあり、一日中悩んだ末に勇気を出して「友達になってください」とボタンを押しても、無視されたりすることがよくあるものです。

 自身の書店ペレカスブックを3年前に立ち上げた際、商売のためにと嫌々始めたSNSは、どんなにわたしに友達がいないか、人望がないかを公開する処刑台のように思えたものでした。

 友達がいないこと自体は平気なのです。もともとわたしはあまり人と一緒に行動するのが好きではなく、映画も買い物も一人で行きたいタイプ。
 信じられないと思われるかもしれませんが、宴会もあまり好きではありません。特に日程を決めての飲み会があると、その日に人と楽しまねばならないというプレッシャーが日々高まり続け、逃げ出したい気分になってくるのです(だけど突発的な飲み会は大好き)。

 現実の世界で人と離れてポツンとひとりぼっちでいるのが平気なのは、通り過ぎる人々の目にわたしが映っていないことを知っているからです。ひとりぼっちでいたいという自由が許される現実世界。
 ところがSNSというのは交流が目的であり、見られることが前提の世界です。友達がいなければいけない世界で、首から『友達がいません』という札を下げて舞台の上に立っているようなものなのです。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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