沢野ひとし【食べたり、書いたり、恋したり。】第2回『白湯の力』

生きるうえで食べることは不可欠ですが、人生はそれだけではありません。寝たり起きたり、仕事をしたり、人に会ったり、旅に出たり。ときには恋もすれば、辛い別れもあります。一見、食べることとは無縁でも、忘れかけていた人生の一場面が、舌の記憶とともに鮮やかに蘇ることもあるでしょう。この連載では、イラストレーター・沢野ひとしさんが、人生のさまざまな場面で遭遇した“食”にまつわる思い出や発見を、文章とイラストで徒然に綴ります。

 中国大陸各地を旅行するようになって六年ほどたつが、「白湯」の力を再認識した。
 はじめて中国に入ったのは二十数年前で、それまでは欧米の文化、ファッションに憧れを持ち、中国には見向きもしなかった。
 だが西安を訪れて、その歴史の深さに感銘を受けた。とりわけ秦始皇帝陵の兵馬俑坑には圧倒され、その後二回も行き、柵から身を乗り出すかのごとく、毅然とした兵士を見つめていた。


※【食べたり、書いたり、恋したり。】は、世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト:沢野ひとし(さわの ひとし)/名古屋市生まれ。イラストレーター。児童出版社勤務を経て独立。「本の雑誌」創刊時より表紙・本文イラストを担当する。第22回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。著書に『山の時間』(白山書房)、『山の帰り道』『クロ日記』『北京食堂の夕暮れ』(本の雑誌社)、『人生のことはすべて山に学んだ』(海竜社)、『だんごむしのダディダンダン』(おのりえん作・福音館書店)、『しいちゃん』(友部正人作・フェリシモ出版)ほか多数。趣味は山とカントリー音楽と北京と部屋の片づけ。

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