新井由木子【まだたべ】vol.010 おむすびばあさんの巻

何十年と生きていたって、世の中にはまだ食べたことのないものが溢れています。隣の家では毎日のように食卓に並んでいるのに、我が家では見たことも聞いたこともない、なんていう食べものもあるかもしれません。この連載では、そんな“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がない、というイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 わたし、イラストレーターと書店店主という肩書のほかに『おむすびばあさん』という第3の顔を持っています。
 男女の縁結びをしているわけではありません。早朝5時から、草加の駅近くにあるソソカフェ(soso cafe)というところで、おむすびを握っているのです。
 玄米はしっかりガシガシと、白米は壊れないよう優しく研ぐ。お水を吸わせる時間も炊く時間も季節やお米と相談しながら、日々美味しくなっていくおむすび。パート仲間の皆さんとがんばっております。

 炊いているのは、草加の農家チャヴィペルト(chavi pelto)のお米。玄米は米の一粒ずつがプチプチと瑞々しく、白米はキリッと粒が立ちながらもっちり甘い、この米の生まれた田んぼを見たい見たいとしつこく言っていると、ある日突然、わたしが勝手に『オトーサン』と呼んでいるチャヴィペルトの中山社長が、野菜配達用の冷蔵車で迎えにきてくれました。


※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト・写真:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
ブログ「Pelekas Books&Gallery&Bar」https://pelekas.exblog.jp
Twitter:@pelekasbook

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