新井由木子【まだたべ】vol.012 猫のサキイカバズーカの巻

何十年と生きていたって、世の中にはまだ食べたことのないものが溢れています。隣の家では毎日のように食卓に並んでいるのに、我が家では見たことも聞いたこともない、なんていう食べものもあるかもしれません。この連載では、そんな“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がない、というイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 忘れられない光景というのは誰しも、思い出のあの時あの場所、美しい夕陽や家族の顔、張り出された受験番号(その逆も)など色々あると思います。
 わたしの目に焼き付いて多分一生忘れられないのは、白いすりこぎ状の物体。“猫のサキイカバズーカ”と我が家で呼ばれる、あの事件にまつわる光景です。
 バズーカを発射したのはうちの白猫テンテン。公園の段ボールから我が家へやってきて、里親探しをするも最後まで貰い手がつかなかった。少し頰がコケてヒョロヒョロした、一反木綿に似た猫ちゃんです。

 その事件は、まだ娘もテンテンも幼き頃、とある日曜日の夕刻に起こりました。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
ブログ「Pelekas Books&Gallery&Bar」https://pelekas.exblog.jp
Twitter:@pelekasbook

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