新井由木子【まだたべ】vol.018 島のクリスマスとおばさんの絶叫の巻

何十年と生きていたって、世の中にはまだ食べたことのないものが溢れています。隣の家では毎日のように食卓に並んでいるのに、我が家では見たことも聞いたこともない、なんていう食べものもあるかもしれません。この連載では、そんな“まだ食べたことのないもの”が気になって仕方がない、というイラストレーター・新井由木子さんが、食べるモノや関わるヒトと奮闘する日々を綴ります。

 わたしは昭和40年代の生まれです。幼少時の写真は全てセピア色。十年ひと昔と言いますが、ひと昔が5つも重なって、子ども時代は遠い昔になりました。
 その頃暮らしていた式根島は離島特有の条件下で、当時の世の中より更に少し古い時間を刻んでいました。
 水は雨水をろ過して飲んでいましたし、停電も多かったし、道も舗装されていませんでした。
 物資は船で本州から運んでくるのですが、島の港も今ほど整備されてはいなかったので、少し風が吹くとたちまち欠航。物資を積んだ大型船は、港の少し沖合で着岸できるかしばし迷う様子を見せた後「やっぱ無理、ごめんね」という感じで去って行く。特に海風が強くなる冬には、欠航ばっかりでした。

 当然、食品に関しては運ばれてくるものは賞味期限の長いものばかり。

※【まだたべ】は、【思いつき書店】として世界文化社公式noteに移転しました。
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文・イラスト:新井由木子(あらい ゆきこ)/東京都生まれ。イラストレーター・挿絵描き。埼玉県草加市にある書店「ペレカスブック」店主。挿絵や絵本の制作のかたわら書店を営む。著書に『誰かの見たもの 口伝怪奇譚』『おめでとうおばけ』(大日本図書)、『まんじゅうじいさん』(絵本塾出版)ほか。「この世はまだ たべたことのないものだらけ。東京に近い埼玉県の、とあるカフェの中にあるペレカスブックで、挿絵や絵本を作りながら本屋を営んでいます。料理は上手ではないけれど、生まれ故郷の式根島と、草加せんべいの町あたりを行き来しながら、食べること周りのことを書いてゆきます」
http://www.pelekasbook.com
Twitter:@pelekasbook

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