東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.57- 北国の味『チカの塩焼き』

え? 塩焼きに叱られる? いえいえ今日のお魚は「チカ」ちゃんでした。おいしそう~! 初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

海水温が低下する冬枯れの防波堤は、釣り人の姿も消えて寂しい空気が流れます。しかし「チカ」という魚が姿を見せたときだけは、釣り人たちも家を飛び出して、防波堤は活気にあふれます。

『チカ』ってどんな魚?

チカは、北海道から三陸海岸以北の本州に生息している北国の海水魚です。北海道ではとてもポピュラーですが、関東より西ではあまり聞かない魚かもしれません。チカは3月ごろから始まる繁殖期に向けて河川の河口近くに集まるようになり、食欲も旺盛になるので、他の魚が釣れない冬枯れの時期によく釣れるようになります。見た目は、同じキュウリウオ科のワカサギとよく似ていますが、尻ビレや背ビレの位置の違いで区別できるのと、もっとわかりやすいのは、チカのほうがより大型になります。

どこで釣れるの?

チカは防波堤で釣りますが、場所によって回遊してくる時期が異なります。そのため防波堤には1人、2人の「見張りのおじちゃん」が居り、日がな一日釣り糸を垂らしています。このおじちゃんの竿にチカが掛かると、“釣り人ネットワーク”によって情報が回り、数時間のうちに防波堤は釣り人で満杯になります。よって、もし北国で釣りをする機会があれば、まずは人がたくさん集まっている場所に行って、ちょこっと釣り場に入らせてもらいましょう。

どうやって釣るの?




釣り方は、防波堤で小魚を釣るときのサビキ釣りでOKです。ただし釣り人で満員の防波堤では、餌の撒き方などにローカルルールもあるので、そのあたりは周囲のおじちゃんたちとよく話をして決めましょう。

チカ釣りは、群れが回ってくる場所とタイミングさえ合えば、あとはノンビリと竿を出して待つだけで釣れます。ただし防寒対策だけは万全にしておきましょう。海水を触ったりして濡れた手で、いつまでも海風が吹きすさぶ中に立っていると、寒くてとても釣りどころではなくなります。



焼けば、卵が美味しいキスの味

ワカサギは、内臓ごと天ぷらにするのが一般的ですが、チカは小骨がワカサギよりも硬いので、そのまま調理するのは少し抵抗があります。そこで通常のように、魚の内臓を出して料理しましょう。このとき、チカの腹に卵が入っている場合は、絶対に捨ててはいけません! 卵をそのままに内臓だけを取り出して、塩焼きにしましょう。



チカの身の味はキスによく似ており、脂の無い淡泊な味わいですが、旨味があります。さらに卵には、シシャモの卵を大きくして味を凝縮したようなコクがあり、その食味は絶品です!

20cm程度にまで育つチカは刺身にもできます。ただし、場合によっては寄生虫を持つものもいるので、いったん冷凍し、解凍後に三杯酢に漬けて、酢じめにしたほうがよいでしょう。そのほかにも、一夜干しやみりん干しにしてから冷凍しておけば、半年以上は美味しく食べることができます。






【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21

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