東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.62- ごはんですよ『イワノリの佃煮』

潮の香りをストレートに感じられるのは、海藻かもしれません。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

桜の便りが届きはじめ、そろそろ本格的にアウトドアを楽しみたくなる季節になりました。しかし、海の中はまだ冷たく魚も少ない季節なので、わざわざ釣りに行くのにはちょっと腰が重い……。それでは、この時期にシーズンを迎える「イワノリ」を摘みにお出かけするのはいかがでしょうか?

『イワノリ』ってどんな海藻?

イワノリとは、アサクサノリやスサビノリ、マルバアマノリ、ツクシアマノリなどの、岩場に付着する、一般的に“アマノリ属”に分類される天然物の海藻を指すことが多いです。

海藻の分類は専門家でも間違えるほど難しいのですが、アマノリ属の海藻はコンブやワカメなどの海藻に比べて小さく、モズクなどの海藻に比べて葉のような平たい形状をしていることで見分けることができます。

どこで採れるの?

イワノリは種類によって生息場所や環境が違いますが、代表的なスサビノリとアサクサノリは河口干潟や磯の岩場に付着しており、冬から春にかけて葉状に大きく成長します。そこでイワノリ採りは、3月ごろにシーズンの重なるアサリやマテガイなどの潮干狩りと兼ねて行うとよいでしょう。

海藻の判別はとても難しいため、初心者の方は、どの海藻がイワノリか、初めはわからないかもしれません。しかし基本的に岩場に生えている海藻は、ほぼなんでも“食べることはできる”ので、あまり細かい種類は気にせずに、目についた海藻を岩から摘み取っていきましょう。

ただし岩に付着する海藻の中には、食べても“美味しくない”ものもあります。例えば、アサクサノリやスサビノリなどと混生していることが多い「アナアオサ」という海藻は、旨味や香りが薄いうえ、食感がゴワゴワしていて美味しくありません。これら“美味しくない海藻”は手で触るとビニール袋のような感触をしているので、それを見分けるポイントにしましょう。


これはアナアオサ。

香りが違う! 自家製ノリの佃煮

摘んできたイワノリは細かな砂利がたくさん付いています。よって、大きめのボールに海水程度の塩水(塩分濃度約3%ほど)を作り、その中でイワノリを洗濯機のようにグルグルと回して洗いましょう。するとボールの底に砂利が沈むので、その都度塩水を替えて、砂利が出なくなるまで3~4回続けましょう。

洗い終えたら、まな板の上にイワノリを広げ、包丁で叩いて細かくします。



次に、一つかみ(200g程度)のイワノリに対して、酒大さじ3、醤油大さじ2、砂糖小さじ2をフライパンに入れて、弱火でかき混ぜながら水分を飛ばしていきます。強火でグツグツと煮詰めるとイワノリの香りが飛んでしまうので注意しましょう。

摘みたてのイワノリで作った自家製の佃煮は、瓶詰のものと比べると香りが各段に違います。あっつあつのご飯に乗せると、磯の香りがふわっと立ち上がり、これだけでご飯が何杯でもいけちゃいます!



イワノリがたくさん採れたのなら、細かく叩いたイワノリを乾燥させて“板ノリ”にしても良いでしょう。本当は天日干しでじっくりと乾燥させたほうが良いのですが、干す場所がないのであればホットプレートでも大丈夫です。



ただし佃煮と同様に、強い熱で乾燥させると香りが飛んでしまうので、低温でじっくりと水分を飛ばしましょう。




【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21

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