東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.64- 砂抜きは時短で『アサリのパスタ(ボンゴレ・ビアンコ)』

今回は潮干狩りのすすめです。子どもの頃に、誰しも一度は経験したことがあるのでは? 自分で採った新鮮なアサリの美味しさは格別ですね。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

桜の季節を迎え、週末は絶好のお出かけ日和が続くようになりました。この時期、家族で楽しめる海のレジャーといえば、なんといっても潮干狩り。そこで休日が大潮と重なった日は、家族全員で「アサリ」掘りに出かけましょう!

『アサリ』ってどんな貝?

日本人にはとてもなじみ深いアサリですが、日本以外にも、朝鮮半島や台湾、フィリピンなどに広く生息しており、近年では地中海やハワイ、北アメリカの太平洋沿岸などに移入もされています。

潮干狩りで採れる貝は、アサリ以外にもたくさんの種類がありますが、アサリの殻はザラザラとした触感と硬い殻、横に扁平した長楕円形が特徴です。殻の模様や色は個体によって大きく違うため、見た目ではなく、触った感じで見分けましょう。

どこで掘れるの?

「潮干狩り」というと、ビーチのような砂浜で行うと思われがちですが、アサリは海水と淡水が混ざり合う汽水域を好みます。よって、潮が大きく引く“大潮”の日に、大きな河の河口付近に出向いてみましょう。もし、その場所が絶好のアサリスポットであれば、多くの人が潮干狩りに興じているはずです。

どうやって掘るの?

潮干狩りのときは、泥を掘り返すための熊手が必要です。熊手は園芸用品として売られている物でも構いませんが、できれば潮干狩り専用のメッシュがついた「網付き忍者熊手」がオススメです。

アサリは完全に泥しかない地面よりも、小石や砂利がたくさん含まれている地面を好みます。よって普通の熊手では、爪の先に「コツン!」と触れた物が、お目当てのアサリか、それとも小石かを判断することができません。そこでメッシュ付きの忍者熊手で泥を掬(すく)い、水の中で振って余計な泥を落とします。こうすることでメッシュには泥に含まれた固形物だけが残るため、簡単にアサリと小石を選別できます。




河口で行うアサリ掘りでは、地面に小石や貝が散乱しているので、裸足やビーチサンダルはNGです。靴は長靴が一般的ですが、水中を歩いていると跳ねた水が靴の中に入ってしまうだけでなく、泥に足を取られて転んでしまう危険性があります。そこでオススメなのが長靴とズボンが一体となったウェーダー(胴長靴)です。ウェーダーを着ていれば、靴に水が入る心配がないうえ、座って貝掘りができるので、長時間かがむことなく、腰痛持ちの人でも楽に貝掘りができます。


温湯に入れて30分で砂抜き

持ち帰ったアサリは海水に含まれる食中毒菌(腸炎ビブリオ)対策として、真水でしっかりと洗いましょう。このとき10個ほどのアサリを両手で握って、「ガシャ! ガシャ!」と強く揉むようにします。このように強くこすることで、表面に付いている泥や汚れが取れるだけでなく、中身の無いアサリの殻を割ることができるので、食用できるものとできないものに選別できます。



アサリを洗い終わったら、次に砂抜きをしましょう。ボールにアサリを入れたら、海水と同じ塩分濃度約3%濃度の食塩水(2カップの水に塩小さじ2杯くらい)を、アサリが半分ぐらい浸かるまで注ぎ、新聞紙などで光が入らないようにフタをして、常温(20℃程度)で一晩置きましょう。



「すぐアサリが食べたい!」という人は、塩を溶かした50℃ほどの温湯で砂抜きをしましょう。アサリは水温が20℃程度になると、活性が高くなり、砂をよく吐くようになります。そこで、殻を通して身に熱が加わる50℃程度のお湯に浸けることで、なんと30分ほどで砂抜きが完了します。なお、時短で砂抜きをする場合、普通の金属製のボールではすぐに温度が下がってしまうので、発泡スチロールなど断熱性のある容器で行うとよいでしょう。

3時間ほどストレスをかけて旨味UP

砂抜きしたアサリは、水を切ったあと、濡らして絞った布きんなどをかけて乾燥を予防し、2~3時間ほど常温で放置しましょう。アサリは陸上に上がってエラ呼吸ができなくなると、コハク酸と呼ばれる物質を体の中で合成して呼吸の代わりになるエネルギーを生み出します。このコハク酸はうま味成分の一種なので、アサリをあえて“酸欠”状態に置くことで、旨味をアップさせる効果があります。

下処理が終わったアサリはできるだけ早く調理しましょう。新鮮なアサリは、どんな料理にしても美味しいものですが、オススメなのが春キャベツと合わせたパスタです。ニンニクと鷹の爪をオリーブオイルでゆっくりと温め、キャベツを入れて全体に熱が通ったら、アサリを入れて白ワインを振りかけ蒸し焼きにします。



ボンゴレ・ビアンコ(アサリの白ワイン風味のパスタ)は、アサリの旨味だけでなく、春キャベツのほのかな甘みがパスタに加わり、まさに春の喜びを感じさせる絶品メニューです!




【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21

この連載のバックナンバー

▼ もっと見る