東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.74- ジメっとした季節は夏野菜と一緒に『シロギスの天ぷら』

獲れたてのキス、おいしいですよね。大量に釣り上げた友人のおかげで、たらふく食べたことがあります。捌(さば)くのも、意外と簡単です。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

6月も終わりに近づき、盛夏が待たれる季節となりましたが、長雨が続くジメジメとした気候はまだまだ続きます。そこで、休日には爽やかな潮風を浴びに、ビーチへ「シロギス」を釣りに行くのはいかがでしょうか?

『シロギス』ってどんな魚?




シロギスは、東アジア全域に広く分布している海水魚で、水深20mぐらいまでのきれいな砂泥底に棲んでいます。日本では北海道南部以南の近海に生息しています。

シロギスは、釣り上げたあとの陸上では淡い褐色をしていますが、水中では背側が淡黄褐色で腹側が白く、海の中で見ると太陽の光を反射して“白銀”に輝いて見えます。その美しい姿から「砂浜の女王」とも呼ばれており、釣り魚としてとても人気があります。

なお、スズキ目キス科の仲間には、アオギスやホシギスなどの種類がいますが、一般的に「キス」といえば、このシロギスを指します。

どこで釣れるの?



30~35cmほどの大型のシロギスは、水深が10m以上の海底に生息しているため、普通は釣り船から釣ります。しかし、20cm以下(12~13cm)の「ピンギス」と呼ばれる小型であれば、1m程度の水深にいるので、ビーチから“投げ釣り”で釣ることができます。

どうやって釣るの?




投げ釣りでは、「天秤」と呼ばれるおもりを使用します。本格的に投げ釣りをするのであれば、専用の竿とリール、それと重たい天秤が必要になりますが、ピンギスを釣るぐらいであれば、よほど竿先が柔らかいものでなければ、ルアーロッドのような竿でも十分です。

シロギスは、群れを作ってあちこちと移動する魚です。そのため、カレイの投げ釣りのように餌を投げっぱなしにして待つのではなく、海岸を移動しながらシロギスが群れているポイントを探します。

餌を投げた後もカレイのように待っているのではなく、リールをゆっくりと巻いて餌を動かしましょう。

シロギスは好奇心旺盛な魚なので、ときどき竿先を「ピンッ!」と動かして海底の餌を「ぴょん!」とジャンプさせると、興味津々で近づいてきます。

身が固く捌きやすい魚

淡泊な味わいのシロギスは、塩焼きや煮付けなど、どんな料理法にもマッチします。しかし、身に油分がほとんどないため、やはり“天ぷら”のような揚げ物にするのがシロギス料理の定番です。



「砂浜の女王」と呼ばるシロギスは、その細身の見た目から、どこか弱々しいイメージを持たれがちです。しかし実際は、泳ぐスピードが速いため釣りの引きは強く、真っ白な筋肉がギュッと引き締まったアスリートのような体をしています。よってシロギスは身が崩れにくく、比較的捌きやすいので、釣るのも料理をするにも初心者には最適な魚です。

天ぷらの衣は冷えた炭酸水を使うと◎




天ぷらの衣は、小麦粉100gに対して、氷を入れた“炭酸水”を100ml加え、卵1個を加えて混ぜ合わせます。

炭酸水を使うと、衣がサクサクと仕上がり、また時間を置いてもベチャベチャになりません。これは、炭酸水に含まれる炭酸ガスが高温で蒸発する際、衣に含まれる水分も素早く蒸発させる効果を持つためです。

また、小麦粉は常温の状態で水を加えて練ると、「グルテン」と呼ばれるたんぱく質が増えます。このグルテンは粘りがあるため、グルテンが多い衣を揚げると油を吸ってベチャベチャになり、食感が悪くなります。そのため天ぷらの衣を作るときには氷を加え、よく冷えた状態で混ぜるようにしましょう。

釣りからの帰りがけに“市場”に寄って!




もし、あなたが、釣りたてのシロギスを天ぷらにしようと決めたのであれば、必ず釣りからの帰りがけに、近所の“市場”をのぞいてみましょう。

なぜならこの時期の市場には、ナスやシシトウ、ミョウガ、オクラなどが出始めており、これらの夏野菜とキスを天ぷらにすると、これがもう最高だからです!





揚げたてのキスと夏野菜、これに「プシュッ!」が付いてくれば、梅雨のジメジメした気分なんて一発で吹き飛んじゃいます!

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

この連載のバックナンバー

▼ もっと見る