東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.77- 飯盒で、ご飯を美味しく炊く方法

釣った魚をすぐ食べる。これに勝る「新鮮すぎる魚」はありません。今回はアウトドアでのご飯の美味しい炊き方を紹介していただきます。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

7月も折り返しとなり、季節も夏本番! と、書きたかったのですが、なかなか梅雨明けしませんねぇ……。まぁそれは置いといて、夏といえば、やっぱりキャンプ! そしてキャンプのお楽しみは、野外料理です! そこで今回は、「飯盒(はんごう)」を使ったお米の炊き方について、お話したいと思います。

ガスバーナーとチタンクッカーを使おう

「飯盒で米を炊く」というと、焚火の用意をしないといけないようなイメージがありますが、そんなことはありません。一般的なアウトドア用品店で買えるガスバーナーとチタンクッカーを使えば、初心者でも簡単に米を炊くことができます。

用意するのは、ガスカートリッジとガスバーナーヘッド、それとフタ付きのチタンクッカーです。ガスバーナーヘッドには色々な形のものがありますが、ご飯を炊く場合は五徳(鍋を支える腕の部分)が4本以上で、上にクッカーを置いても安定するサイズのものを購入しましょう。

飯盒として利用するチタンクッカーは、本体とフタがしっかりとはまるタイプのものを購入してください。クッカーによっては「注ぎ口」が付いているタイプもありますが、これだと蒸気が逃げてしまうので、上手に炊けません。



水の分量は指の第一関節まで



米を研いだらクッカーに入れ、30分ほど水に浸けておきましょう。水加減ですが、普通のクッカーには目盛りが付いていないので、「指」で測りましょう。

米に対する水の量は、指(親指以外ならどの指でもOK)が米の上部に触れたときの、その指の第一関節と同じぐらいの高さになります。

火の調整は「はじめチョロチョロ中パッパ」

「はじめチョロチョロ中パッパ、赤子泣いてもフタ取るな」という唄を聞いたことがありますか? 実はあれはショートバージョンであり、本当は「はじめチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、一握りのわらを燃やし、赤子泣いてもフタ取るな」が正式な歌詞です。そして、飯盒でご飯を炊くときのコツは、この歌詞の内容に全てが込められています!

その1・弱火でお米を温める



まず「はじめチョロチョロ」とは、「米を温める」という意味です。米を炊くときに、初めから強火で加熱してしまうと、火が当たっている容器の底が、先に炊き上がってしまい、「底のほうは炊けているのに、上のほうはまだまだ生米」という“炊きムラ”ができてしまいます。

そこで米を炊くときは、まず、米全体を弱火でじっくり温めて、容器内の温度差を無くすようにします。

その2・強火で一気に圧力を上げる




次の「中パッパ」は、「強火で飯盒内の圧力を一気に上げる」ことを意味しています。

米は容器内の圧力によって、水分を吸収します。そのため、圧力が十分に加わらないと、米の中に硬い芯が残った“ごっちん飯”(福岡では芯のあるご飯をこう呼びます)になってしまいます。

そこで、弱火で米を温めたら、次は火加減を最大にして一気に容器内の圧力を上げるようにしましょう。このとき、内圧によって徐々にクッカーのフタが持ち上がってくるので、重しとして小石などを乗せておきます。

その3・吹きこぼれが出始めたら火を弱める



「ジュウジュウ吹いたら火を引いて」は、「吹きこぼれが出始めたら、火を弱める」という意味です。

容器内が圧力の限界になると、フタの隙間から湯気が立ち上り、吹きこぼれ始めます。こうなったら火を弱め、米が水を完全に吸い切るまで炊き続けましょう。

炊く時間は10~15分ぐらいが目安ですが、お米を炊く分量により時間が変わるため、“音”で判断できるようになりましょう。炊く音は、まだ容器内に水が残っているときは「グツグツ」と沸騰する音がします。これが次第に「ブツ…ブツ…」と煮詰めたような音になり、水が完全になくなると「ツー……」という音になります。

その4・いったん強火にかけて、20分蒸らす

「一握りのわらを燃やし」は、「いったん強火で蒸気を出して蒸らす」という意味です。

米が水を吸い切ったら、最後に火を最大にしてクッカー全体を炙(あぶ)りましょう。これによって、余分な水分が蒸気になり、米を蒸しあげます。クッカーを火から下ろしたら、そのまま20分ほど置いて、しっかりと蒸らしましょう。

なお蒸らす際に、クッカーを逆さまにして、底をバンバンと叩いておきましょう。これは、ご飯が冷えて固まると、クッカーの底にこびり付いてしまい、後で洗いにくくなるのを防ぐためです。






いったん火にかけたら、絶対にフタを開けてはダメ!



最後の「赤子泣いてもフタ取るな」は、「米を炊いている途中は、絶対にフタを開けてはいけない」ことを意味しています。

米はいったん火にかけたら、蒸らしが終わるまで絶対にフタを開けてはいけません。もし途中でフタを開けると圧力や蒸気が逃げてしまい、芯の残ったごっちん飯になってしまうからです。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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