東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.81-“おめで鯛”はわたしです『キダイの塩焼き』

タイシリーズが続く、おめでタイ季節です。あなたはどのタイプのタイがお好き? 初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。
この世の中にあらゆる魚はあれど、「魚の代名詞」とも呼ばれるマダイは、釣り人の間でも釣れたら「こりゃめでたい!」と誰もが喜ぶ、人気のターゲットです。しかしちょっと待ってください! 皆さんのよく知る「おめで鯛」って、実はマダイではなく、大抵は「キダイ」だったりするんです。
『キダイ』ってどんな魚?
キダイは、本州中部以南(但し瀬戸内海には見られない)から南シナ海、オーストラリアまでの西太平洋に分布する、マダイと同じタイ科の魚です。
見た目はマダイにそっくりですが、体の所々が黄色味を帯びており、体長は20~40cmで、1m以上にも成長するマダイに比べて小型です。
正式和名は「キダイ」ですが、釣り人や漁師さんの間では「レンコダイ」または単に「レンコ」と呼ばれることが多く、お店でもこの名前で売られています。
どこで釣れるの?
キダイは、水深50~200mの深い海底付近に生息する魚です。そのため、防波堤や磯からでも釣ることができるマダイとは異なり、キダイは船の上からでないと釣れません。
どうやって釣るの?
キダイの釣り方はマダイとほぼ同じで、タイラバが効果的です。
キダイは群れを作って移動する魚なので、1匹釣れたら同じ場所で何度もタイラバを投入してみましょう。
「レンコダイ(連子鯛)」という名前が、網を使った漁で次から次へと連なって漁獲されることから付けられたように、運が良ければ10~30匹以上もの大漁が狙えます。
口から「ウオノエ」が出てきても驚かないで!
キダイを処理するうえでひとつ覚えておいてほしいのが、キダイの口の中には、よく「ウオノエ」と呼ばれる寄生虫が付いていることです。
ウオノエは、タイやサヨリ、アジなどの口内に寄生する、ダンゴムシのような生物です。
「寄生虫」と聞くと、なんだかとても恐ろしく思えますが、ウオノエはたとえ人間が間違って食べたとしても害があるわけではありません。
しかし、調理中に魚の口の中から「もぞもぞ」と這い出てくることがあるので、驚いて包丁を落としたりしないように注意しましょう。
マダイよりも身がホクホク! 焼き物で真価を発揮!
釣り人の中には、「キダイは鯛の中でも下級」なんてことを言う人がいますが、お正月などのお祝い事に出てくる、尾頭付きの塩焼きや、鯛めしといった「おめで鯛」料理のほとんどに、このキダイが使われます。
キダイが「おめで鯛」に使われる理由は、もちろんマダイと比べ値段が安いからというのもありますが、キダイの身はマダイよりも水分が多く、焼くと「ほくほく」になり、焼き物や煮物に向いています。また冷めても身質が固くなりにくいという特長もあるため、お節料理のようなお祝い料理には最適です!
【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21
この連載のバックナンバー
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.100(最終回)- 初めて釣ったアジの味
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.99- プラスの旨味を引き立てる『タチウオ+ホタテのムニエル』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.98- お困りのエサ盗りを齧り尽くす!『スズメダイのあぶってかも』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.97- 魚に食べていただきたい!『釣り餌のレシピ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.96- 釣れない時間は“のんびり”待とう『ブダイのみぞれ揚げ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.95- 青のり風味の魚をフレンチ風に『イスズミのキッシュロレーヌ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.94- “青い稲妻”を釣りたてで食べる『クロメジナの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.93- 危険がいっぱい! でも面白い! 沖磯で釣りをしよう!
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.92- まるで個性のバーゲンセール 『ホウボウのお吸い物』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.91- 下魚(げざかな)からの成り上がり『マトウダイのバターグリル』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.90- 雑魚(ざこ)って呼ばないで! 『ヒメのさつま揚げ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.89- 水っぽい魚は“柑橘(かんきつ)類”で『イラの海鮮サラダ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.88- 知は“旨い”なり『ヨコスジフエダイのお刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.87- 触るのは「待て、しばし!」恐ろしい“毒針”を持つ魚たち
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.86- 美味しい“魚の”おじさん『オジサンのマース煮』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.85- こいつはウッカリ!『ウッカリカサゴの煮付け』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.84- 付け合わせは夏野菜『フエフキダイのポワレ・ラタトゥイユ添え』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.83- 船上の悪魔『船酔い』を防ぐ5つの方法
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.82- その美味しさにあやかりタイ!『イトヨリダイのアクアパッツァ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.81-“おめで鯛”はわたしです『キダイの塩焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.80- マダイよりも高級魚『アマダイのウロコ煎餅』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.79- 初心者でも簡単に釣れる!?『マダイのお刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.78- 夏はキリッと冷酒と共に『ウマヅラハギの肝和え』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.77- 飯盒で、ご飯を美味しく炊く方法
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.76- 柔らかい身を“冷やして”焼く『ベラのハブテ焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.75-『めごちの刺身』それ “ノドクサリ”じゃないよね?
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.74- ジメっとした季節は夏野菜と一緒に『シロギスの天ぷら』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.73- 釣れすぎちゃったときのために『どんなお魚でも応用できる魚餃子』の作り方
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.72- 顔は恐ろしく超狂暴! でも、味は絶品『トムヤムライギョ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.71- “ウロコ”まで美味しく食べられる『ギンブナの甘露煮』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.70- 季節の変わり目の食欲がないときは『マテガイのぬた』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.69- 初夏に出合う珍味『ウミタナゴガラス』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.68- その美味しさ“女王級”『アオリイカの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.67- 潮干狩りで採りすぎちゃったときは 『貝のオイル漬け』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.66- 見捨てる者はバカを見る『バカガイのぬた』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.65- 最高のお刺身にするための、包丁さばき“超”入門
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.64- 砂抜きは時短で『アサリのパスタ(ボンゴレ・ビアンコ)』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.63- セピア色に恋して『コウイカのイカ墨パスタ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.62- ごはんですよ『イワノリの佃煮』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.61- 美味さスーパーパンチ!『シャコの塩茹で』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.60- 見た目は“青い”が味は一級『アナハゼの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.59- 冬の鯛『コブダイのポワレ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.58- 見た目はアレだけど超高級珍味『ユムシの酢の物』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.57- 北国の味『チカの塩焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.56- 5億年変わらない味『ヒザラガイのぬた』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.55- 茹で方にコツがある『バテイラの塩茹で』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.54- 釣り人を救う珍味『カメノテの味噌汁』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.53- 冬枯れ前の良いタコ釣り『イイダコのサンナッチ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.52- 冬の闇夜に『クロソイの焼霜造り』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.51- 初春の『イセエビのお味噌汁』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.50- 良か嫁ぶり『ブリの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.49- 油で温める保存食『シロサバフグのコンフィ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.48- 自分で釣ってプロがさばく『ショウサイフグのクリスピー』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.47- あわよくば高級魚を『ヒラメのから揚げ中華風あんかけ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.46- 鉄鍋を使いこなそう!
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.45- お酒を買いに走る!『サッパのママカリ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.44- スポーツがてら食欲の秋『モクズガニのトマトクリームパスタ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.43- 身近な魚は極上の味『ハゼの南蛮漬け』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.42- 知らないと損する美味しい魚『ヒイラギの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.41- 海のフォアグラはいかが?『カワハギのマース煮』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.40- 釣れすぎちゃっても安心『サバのサンガ焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.39- “秋バテ”予防に『コノシロの蜂蜜酢漬け』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.38- 秋の夜長に投げ釣りでも『アナゴのアヒージョ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.37- お手軽ファミリーフィッシング『カタクチイワシのボケロネス』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.36- “ねこまたぎ”か、“さらねぶり“か。『アイゴの三夜干し』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.35- キャンプライフが楽しくなる”焚き火料理”の基本
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.34- 臭い魚を美味しくたべよう『タカノハダイのウロコ焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.33- その美味しさ “べっぴん”『ウツボのから揚げ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.32- アンダー・ウォーターへようこそ!『イシダイのマース煮』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.31- 潜って捕まえろ!『ハリセンボン汁』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.30- “おちこぼれ”と呼ばないで『アユの背越し』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.29- 絶対に失敗したくない人のための『ニジマスの焚火焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.28- 釣ったその場で刺身で食べる『ウルメイワシの手開き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.27- 夜風にゆれる『スズキのカルパッチョ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.26- 来る夏にザリガニで乾杯!『茹でザリガニ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.25- お魚さばき“超”入門
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.24- 幻の魚は暁とともに『キジハタの出汁茶漬け』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.23- ガツンッ!と決めよう『ヒラマサの刺身』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.22- ゴチになります!『メジナの焼霜造り』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.21- 見た目は恐いが根は美味い『エソのすり身揚げ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.20- 禁じ手の技を使ってプロのアジに『究極アジフライ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.19- 貝掘り界の救世主?『ホンビノス・ビアンコ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.18- ナマズはナマズ味『ナマズのムニエル』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.17- 釣り半夜、捌き三年、焼き一生『ウナギの蒲焼』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.16- 食べてはいけない魚たち
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.15- 忘れちゃいけないエビ油『テナガエビチャーハン』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.14- 居眠りするほどよく釣れる『カレイの煮つけ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.13- 解禁直後なら初心者でも釣れる『ヤマメの塩焼き』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.12- 食べてその姿に恋をする『なまこ酢』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.11- エサ代0円で鯛を釣る『クロダイの昆布〆』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.10- 新感覚の潮干狩り『焼きマテガイ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.9- お気軽フィッシングで上質スープを『小メバルのフュメ・ド・ポアソン』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.8- 釣った魚を“最高の刺身”にするための持ち帰り方
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.7- 極寒の時期でも穴釣りで 『カサゴのネギ酒蒸し』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.6- 少し危険なオトナの味 『ゴンズイの煮つけ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.5- 海の野菜、海藻を獲って食べよう! 『ヒロメのしゃぶしゃぶ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.4- 真冬は湖でファミリーフィッシング 『ワカサギの丸揚げ』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.3- 捨てる釣り人と笑う魚『ボラの三合飯』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.2- 朝霜美人『サヨリとアスパラのバターソテー』
- 東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.1- 二度美味しい『ジンドウイカの刺身と甘辛大根煮』