東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.84- 付け合わせは夏野菜『フエフキダイのポワレ・ラタトゥイユ添え』

先週の「船酔い」コラムを経て、帰ってきた“タイ”シリーズ。「タイ」と名前の付く美味しい魚は、こんなにたくさんいるんですね。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

アマダイやイトヨリダイのような「あやかり鯛」は、体色がマダイのような赤味を帯びているので、とても美味しそうに見えます。しかし中には、マダイとは似ていない「あやかり鯛」も多くいます。目から口までが長~く伸びた「フエフキダイ」も、そんな「あやかり鯛」の一種です。

『フエフキダイ』ってどんな魚?



フエフキダイは、和歌山県以南から東インド諸島までの暖かい海に生息している海水魚です。日本では、太平洋側よりも日本海側に比較的多い魚で、関東よりも関西で水揚げされています。

フエフキダイの特徴は、前方に突出した口吻を持っていることで、その姿が『口笛を吹いているような口の形をしている』ことから、「フエフキダイ」という名前が付けられたといわれています。

どこで釣れるの?



フエフキダイは、岩礁やサンゴ礁のような、岩でゴツゴツとした底部付近を好みます。内食性で、そこに生息している小魚やカニ、エビなどを食べています。よって、磯から釣ることもできますが、一般的には船上からのマダイ釣りの外道として、お目にかかることが多いです。

どうやって釣るの?



フエフキダイはマダイの外道としてよく釣れるので、仕掛けもマダイ釣りと同じように、タイラバなどが最適です。しかしフエフキダイは、カニの甲羅を噛み砕くほどの強靭な顎(あご)と鋭い歯を持っているため、タイラバのゴムを、ズタズタに噛み切ってしまうことがあります。よって、フエフキダイをメインに狙いたいのであれば、ひとつテンヤを使ったほうが、良いかもしれません。

フエフキダイはポワレが一番!

フエフキダイは、しばしば「臭いがキツイ」と言われたりしますが、磯に長く居着いている個体にはしばしば磯臭さがあるというだけで、船上から釣ったフエフキダイには臭みはありません。

身はマダイよりも水っぽいため、お刺身ではイマイチですが、熱を加えると身が締まり、クセの無い味わいで、どんな味付けにもマッチします。

フエフキダイのオススメの料理方法は、『ポワレ』です。ポワレは、魚の切り身に塩とタイムを振って、油を引いたフライパンで皮目をパリッと焼きます。そして仕上げに少量の白ワインを加えて、蒸し焼きにする調理方法です。





フエフキダイの身は脂肪分が少ないため、オリーブオイルで焼き上げると、旨味がさらに引き立ちます。また、最後に蒸し焼きにすることで、身をふっくらと仕上げることができます。

残った油は捨てずに『ラタトゥイユ』に



ポワレにした後、フライパンに残った油は、フエフキダイの旨味と白ワイン、タイムの香りが残っているので、捨ててしまうのはモッタイナイです。そこで、タマネギ、ナス、パプリカ、ズッキーニ、トマトなどの夏野菜を炒めて、南フランスの郷土料理『ラタトゥイユ』にしましょう!

ラタトゥイユの作り方は単純に、残った油で野菜を炒め、コンソメの素と塩コショウで味付けをするだけです。

『魚のポワレ×ラタトゥイユ』のコンビネーションは、フエフキダイ以外でも活用できます。焼き魚の料理には、付け合わせを考えるのがなかなか難しいのですが、ラタトゥイユなら新鮮な野菜をたっぷり楽しめます!



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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