東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.85- こいつはウッカリ!『ウッカリカサゴの煮付け』 

「ウッカリ」と聞くとつい「ハチ○○」と続けたくなるのは私だけではないはず……。そういえば「ハチ○○」さんも美味しいものに目がないという設定だったようですね。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

水深が100mを超えるような深い海の底には、たくさんの種類の魚が潜んでおり、ときには驚くような大物が釣れることもあります。その中でも、「釣って楽しく、食べて美味しい深場に棲む魚」の筆頭格が、カサゴです。……ん? おっと、こいつはウッカリ! カサゴではなく「ウッカリカサゴ」です。

『ウッカリカサゴ』ってどんな魚?



ウッカリカサゴは、西太平洋の広い範囲に分布するカサゴ目メバル科に属する海水魚です。日本では宮城県沿岸以南に生息しています。

このウッカリカサゴは、鮮魚店などでも目にする「カサゴ」とは別種の魚ですが、その姿はとてもよく似ています。その名前の由来も、「日本の魚類学者でも“うっかり”カサゴと同じ種類だと勘違いした」ことから付けられたといわれています。

どこで釣れるの?



ウッカリカサゴとカサゴは、見た目はよく似ていますが、カサゴの場合は消波ブロックの隙間のような浅い場所に生息しています。

対してウッカリカサゴは、水深およそ30~100m以上ある沖合いの深い海の底に生息しており、船上からでないと釣ることはできません。

どうやって釣るの?



ウッカリカサゴを狙う場合は、餌を使う一つテンヤよりもタイラバのほうがおすすめです。なぜなら、ウッカリカサゴは100m以上の深い海底にいるので、ビル30階分ほどの距離を、リールの小さなハンドルを回して糸を巻き取らなければならないからです。

よって、「餌がまだ付いているか」を確認しないといけない一つテンヤ(餌釣り)よりも、魚が掛かるまで仕掛けを回収しなくてもよいタイラバ(ルアー釣り)のほうが、腕への負担は減ります。

もしくは、電動リールを使うのも良いでしょう。電動リールは、スイッチを入れるとモーターが動き、糸を自動的に巻いてくれるリールです。値段は、普通のリールが1万円程度であるところを、4~10万円と値が張りますが、スイッチ一つで自動的に糸を巻き取ってくれる便利さを一度味わうと、自分で巻き取る“糸巻き地獄”には戻れません。


カサゴとの違いは『大きさ』



ウッカリカサゴとカサゴの違いは「棲んでいる海の深さ」と言いましたが、もう一つの大きな違いは魚体の「大きさ」です。

カサゴの場合は、体長およそ20~30cmで、それ以上ともなると「大物だ!」と、人に自慢できるサイズです。対してウッカリカサゴは、小さいものでも体長30cmはあり、ときには60cmクラスという老成魚が釣れることもあります。

それ以外にも、ウッカリカサゴは深い所から上がってくるので、水圧の影響で目が飛び出しています。目が飛び出た巨大な魚を見て「ぎょぎょぎょ!」と驚かれるかもしれませんが、ウッカリ足を滑らせて海に落ちないように注意しましょう。

煮付けは、内臓も一緒に!



ウッカリカサゴの味は、カサゴとほとんど同じです。しかし、サイズが全然違うので、カサゴのサイズでは滅多に食べられない、お刺身でいただくのもオツなものです。

ウッカリカサゴの定番料理は、カサゴと同じく「煮付け」です。ウッカリカサゴに限らず、カサゴやメバルなどの「ロックフィッシュ」と呼ばれる白身の魚は、熱を通しすぎると身が縮んでパサパサになるので、濃いめの味付けで、短時間で調理するようにしましょう。

また、サイズの大きいウッカリカサゴは、肝や心臓、浮袋、秋場には卵巣や精巣などの内臓も美味しく食べられます。これらの内臓を煮付けにするときは、いったん取り出して綺麗に洗い、再度腹の中に戻して料理しましょう。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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