東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.89- 水っぽい魚は“柑橘(かんきつ)類”で『イラの海鮮サラダ』 

今週も、ちょっとマイナーかもしれないけれど、食べればイケる魚の登場です。その旨さを味わうためにはコツがあるようですよ。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

釣りで釣れる魚には、前回(vol.88)ご紹介したヨコスジフエダイのように、「人気は無いけれど旨い魚」がたくさんいます。そのような中でも、釣れたとしても即座にリリースされてしまう、釣り人に“不人気”の魚が、「イラ」です。

『イラ』ってどんな魚?



イラは、朝鮮半島南部、台湾、東・南シナ海に分布する海水魚で、日本では本州中部地方以南に生息しています。

体長はおよそ40~45cmほどに成長し、楕円形でやや長く左右に平たい体をしています。背中から胸ビレにかけて黒褐色の幅広い斜め線が入っているのが特徴です。

また、額部から上あごにかけての傾斜が急になっており、ギュッと押しつぶしたような頭部をしています。雄(成魚)は次第に額が突出してきます。

どうやって釣るの?



イラは、水深10mから100m程度の岩礁帯に、単独で生息しています。磯のような陸地からでも釣れますが、普通はマダイ釣りなどの外道としてお目にかかる魚です。

イラは肉食性で、貝やエビ、カニ、ゴカイなど、動物性のものなら何でも食べるため、仕掛けはタイラバや一つテンヤ、胴付き仕掛けなど、どれでも大丈夫です。

「イライラ」したイラに噛まれないように注意!



イラの口から針を外すときは、噛まれないように十分注意しましょう。「イラ」の名前の語源が、「捕まえようとして手を伸ばすと、噛みつこうとしてきてイライラするから」といわれているように、イラは「のほほん」とした顔に似合わず、意外と気性の荒い魚です。

よって、不用意に口元に触ろうとして指を近づけると、その鋭い牙で「ガブリッ!」とやられるので注意してください。

水っぽいイラの身は半冷凍で捌(さば)くべし

しばしばイラの食味は「美味しくない」と評価されることがあります。確かにイラは、身がかなり水っぽく、ブニョブニョとしているので、あまり食欲をそそられません。

しかしイラは決して、不味(まず)い魚ではありません。その身には薄いながらも甘みがあり、お刺身にするとその上品な味わいがよくわかります。

イラの身を普通の人が刺身にしようとすると、おそらく身が崩れてグズグズになってしまいます。そこでイラの身をいったん冷凍庫に入れ、半冷凍になった状態で切りましょう。



こうすると綺麗にスライスできるため、イラ本来の味わいが、よくわかるようになります。



物足りないと思ったら、柑橘類と合わせよう

「上品な甘みが特長」と言いましたが、やはり人によっては「う~ん……旨味が無い」と思われる方も多いようです。そんなときは、柑橘類をぎゅっと絞って、味にアクセントを加えましょう。

イラの身は酸性の柑橘類を加えることで、身がキュッと締まって味わいが増します。柑橘類はレモンが定番ですが、ユズやカボスもよく合います。一番のオススメは「スダチ」で、薄く削いだ皮を加えて野菜を添えると、素晴らしい海鮮サラダになります。





【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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