東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.91- 下魚(げざかな)からの成り上がり『マトウダイのバターグリル』

釣りたてのマトウダイで作ったバターグリルを囲んで、ワイワイガヤガヤ。秋のレジャーにもってこいですね。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

前回(vol.90)ご紹介した「ヒメ」のように、魚の中には「味は良いのに評価が低い魚」がたくさんいます。確かに釣り上げた時に、見た目が不格好だったり、変な模様を持っていたりする魚は、あまり食欲が湧いてきません。しかし、そんな不人気な魚たちの間でも、「マトウダイ」のように、ちょっとしたことがきっかけで評価がガラリと変わる魚だってあるのです。

『マトウダイ』ってどんな魚?



マトウダイは、西部太平洋から地中海、インド洋、東部大西洋までと、ユーラシア大陸、アフリカ大陸、オーストラリア大陸、日本近海にも広く分布している海水魚です。

体長はおよそ40cmほどですが、個体によっては最大90cmほどに成長します。また、漢字で「的鯛」と書くように、体の側面に弓道の的のような、丸く大きな黒斑を持っていることが、見た目での大きな特徴です。

どこで釣れるの?

マトウダイは、水深がおよそ50~200mほどの海底に生息しています。そのため、マトウダイを釣るのは、主に船の上からになります。しかし肉食性のマトウダイは、夜に餌となる小魚を追いかけて岸近くまでやってくることもあるので、まれに堤防の夜釣りでも釣れることがあります。


どうやって釣るの?

マトウダイは、マダイと同じような場所に生息しているので、マダイ釣りの外道としてもお目にかかります。よって仕掛けは、タイラバが一番良いでしょう。



マトウダイの口は、前方に長く伸びるようになっており、この口を使って目の前を通過した小魚を素早く丸呑みにします。よって、マトウダイが針に掛かると、急に竿先がひったくられるかのように、「ガツン!」と大きな衝撃があります。



このとき「大鯛か!?」と思って勢いよく糸を巻くと、針が掛かった口が切れて、逃げられる可能性があります。よって、針が掛かった後に、それほど強く引かないのであれば、慎重に糸を巻いて釣り上げましょう。

「フレンチの定番」で成り上がり



ひと昔前までのマトウダイは、“下魚(げざかな)”と呼ばれ、市場では大した値段が付かない魚でした。

しかし近年、「マトウダイはフレンチでは定番の魚!」という話が世間に広まったことから、現在ではスズキやヒラメに並ぶ「白身魚の定番魚」として、人気の魚となりました。

パーティー料理にも最適! バターグリルを作ろう

マトウダイは、「カワハギ」のように、その大きな肝も美味しい魚です。よって、釣りたての新鮮なマトウダイは、肝を叩いて醤油で溶かし、おろした刺身を浸して食べるのが絶品です!

またマトウダイは、骨から良い出汁が出るので、三枚におろしたあとのアラを使って、バターグリルを作るのもおすすめです。

バターグリルは、マトウダイのアラを耐熱皿に置き、その上に紫タマネギのスライスをたっぷりとのせます。次に、その周りに、ニンジンやナスなどの野菜を並べて、200℃のオーブンでじっくりと焼きましょう。



その間に、マトウダイの切り身と肝に塩コショウをし、小麦粉をまぶして、たっぷりのバターで炒めます。



表面がこんがりキツネ色になったら、身と肝をグリルにしたアラの上に並べて、白ワインを振りかけ、ふたたび200℃の温度で蒸し焼きにします。



バターの風味が染み込んだマトウダイのグリルは、淡泊ながらも深い味わいがあります。肝も、バターがからんでふっくらと焼き上がるので、生で食べるよりも、より濃厚さが引き立ちます。

そして、なんといっても絶品なのが、マトウダイの出汁が染み込んだ野菜です! ニンジンやナス以外にも、ジャガイモ、ズッキーニ、パプリカ、サヤインゲン、キノコ類など、色々な食材と合うので、彩り鮮やかなパーティー料理としても最適です。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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