東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.94- “青い稲妻”を釣りたてで食べる『クロメジナの刺身』

この連載のvol.22で「メジナ」釣りを紹介していますが、そのときは「焼霜造り」がおすすめでした。さて、今回のお楽しみは? 初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

潮通しの良い磯では、堤防や漁港などではなかなかお目にかかれない魚が釣れます。中でも「磯釣り」の代名詞ともいえるターゲットが「クロメジナ」です。見た目は普通のメジナと見分けがつきにくいクロメジナですが、その味わいは普通のメジナよりも一段上をいく美味しさです。

『クロメジナ』ってどんな魚?



クロメジナは、房総半島以南の太平洋岸、九州西岸と東シナ海側に生息する海水魚です。近縁種の『メジナ』に見た目はそっくりですが、メジナが磯や堤防などに居着く魚なのに対し、クロメジナは近海を回遊します。そのためクロメジナはメジナに比べて泳ぐ力が強く、体つきもスマートに見えます。

メジナとクロメジナの見分け方

メジナとクロメジナは、尾ビレの形が少し違います。クロメジナは別名「尾長グレ(オナガ)」と呼ばれているように、メジナに比べて尾ビレの端が長く伸びています。


また、クロメジナのエラブタには、黒い縁取りがあり、口先が尖って見えます。普通のメジナのほうはエラブタに黒みが無く、口先が丸みを帯びているので、「尾長グレ」に対して「口太グレ(クチブト)」と呼ばれています。




どうやって釣るの?

クロメジナの釣り方は、普通のメジナと同じように、撒き餌を使って魚を呼び寄せる「ウキフカセ釣り」です。しかしクロメジナは、潮の速い磯を回遊するほどの高い遊泳力を持っているため、メジナ釣り用の仕掛けよりも糸と針を太くしましょう。


速い潮の流れを好むクロメジナは、波が当たって海面に白い泡が立つ「サラシ」の下によくいます。そこで撒き餌は、このサラシに餌が巻き込まれていくように撒きましょう。海面を見ただけで潮の流れを読むのはかなり難しいと思いますが、波や浮遊物の動き方で潮流の方向やスピードを予想する技術は磯釣りにおけるとても重要なテクニックになります。


青い稲妻を釣り上げろ!



普通のメジナは30~40cmほどですが、クロメジナはそれよりも大きくなり、ときには70~80cmを超えることもあります。

また糸を引くパワーはクロメジナのほうが格段に上で、海底に向けて真下に潜り込むその加速力は、まるで“稲妻”が落ちるように強烈です。

50~60cmを超すクロメジナが初めて掛かったときは、その恐ろしいほどのパワーで、成すすべもなく糸を切られてしまうこともあるかと思います。しかし、竿を操作するテクニックや、体全体で強い引きを“いなす”テクニックを身につければ、必ず釣り上げることができます。がんばりましょう!!

釣りたてクロメジナをお刺身に



パワーの強いクロメジナは、普通のメジナに比べて身がギュッと締まり、旨味も格別です。また磯に生える海藻を主食にしている時期のメジナは、身に海藻をすり潰したような“磯臭さ”がありますが、回遊しているクロメジナは年間を通して磯臭さがありません。

クロメジナの調理は普通のメジナのように、煮ても焼いても美味しく食べられますが、是非一度試してもらいたいのが「磯の上で釣りたてを刺身にして食べる」ことです。料理の方法は単純に、釣りたてのクロメジナをしっかりと血抜きし、三枚におろして刺身にするだけ。味付けはシンプルに塩だけでも良いですが、ポケットサイズの醤油があれば持っていきましょう。

潮風の香りと一緒にたべるクロメジナの刺身は、家やお店で食べるのとはまったく違う味わい深さがあります。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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