東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.99- プラスの旨味を引き立てる『タチウオ+ホタテのムニエル』

韓国料理でもよく食されるタチウオの登場です。調理の際にひと工夫するだけで、もっとおいしく食べられるようですよ。初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

スズメダイのような“エサ盗り”は、鉤(はり)に付いた餌も綺麗さっぱり平らげてしまうので、釣り人にとっては悩みの種です。しかしエサ盗りがやってくることは決して悪い面だけではありません。小魚たちが「わいわいがやがや」と大騒ぎする音を聞きつけて、“海のギャング”と恐れられる「タチウオ」が姿を見せることもあるからです。

『タチウオ』ってどんな魚?

タチウオは、世界中の熱帯から温帯の海域に広く分布する海水魚です。体はとても細長く、普通の魚のような尾ビレや腹ビレがありません。



体長は1.5m程度ですが、最大で体長2m、体重は5kgを超えることもあり、その恐ろしい顔つきから巨大に成長したタチウオは「ドラゴン」と呼ばれることもあります。

どこで釣れるの?

タチウオは、日中は沖の深い場所で群れを作って生息していますが、夕方から夜間にかけては餌となる小魚を狙って水面近くまで浮上してきます。よってタチウオは、エサ盗りのような小魚が群れている磯や防波堤などで釣ることができます。

どうやって釣るの?



タチウオが岸に寄ってくるのは夜間にかけてからなので、仕掛けは電気ウキを使ったウキ釣りになります。

鉤と糸はタチウオ釣り専用のものを購入しておきます。この糸は、金属のワイヤーで作られており、タチウオの鋭い歯でも切断されない強度を持っています。鉤は通常2本ついていて、これを生き餌となる小魚の頭と尾に引っ掛けます。

生き餌は一般的に小アジを使いますが、前回(vol.98)紹介したスズメダイや小メジナ、ベラ、サッパ、コノシロなど、何でも構いません。夕方に釣りを始めてエサ盗りを集め、そこから釣り上げた魚を生き餌に使うといった流れが良いでしょう。なお、釣れる可能性は低くなりますが、スーパーで売られている小アジや冷凍のキビナゴなどでも釣ることはできます。

生き餌を投入したら、電気ウキが「ぴょこ……ぴょこ……」と動くのでしばらく様子を見ましょう。タチウオが生き餌に噛みつくと、電気ウキが急に沈み込みます。しかしこのとき焦って竿を引くと、噛みつかれた生き餌の腹だけをえぐられてしまうので、少し様子を見ましょう。しばらくすると電気ウキが浮かび上がり、ススス……と横に動き始めるので、ここで初めて竿を引いて釣り上げましょう。

釣れたタチウオの歯に注意!



タチウオが釣れたら噛まれないように注意しましょう。タチウオの歯は鋭く尖っているだけでなく、歯の先が“返し”のようになっています。この歯に噛まれると、傷口が“ズタズタ”になってしまうので、タチウオを扱う時は「メゴチバサミ」と呼ばれるトングのような道具で挟むようにしましょう。口から鉤を外すときは、ラジオペンチのような先の長い道具を使って、慎重に取り外してください。

下処理は、内臓を取るだけ



タチウオの下処理は、頭を落として内臓を取り出すだけです。実はタチウオは、他の魚で言う「ウロコ」が無く、表面はグアニン質と呼ばれる銀色の粒子が付着しています。模造真珠の原料にもなるこのグアニン質は食べても問題ないので、他の魚のようにウロコを取る手間がありません。

料理するときは、このままブツ切りでもよいですが、背ビレに骨が多いので、あらかじめ背ビレに沿って包丁を入れ、背ビレごと骨を外しておくと食べやすくなります。

淡泊なタチウオには、ソースにひと工夫を

タチウオはシンプルな塩焼きでも十分に美味しい魚ですが、少し物足りないと思うのであれば、ソースにひと工夫を加えたムニエルがオススメです。

まず、ブツ切りにしたタチウオの両面に小麦粉を付け、たっぷりのバターでソテーします。中まで火が通ったらタチウオを取り出し、残ったバターソースでホタテを炒めて、さらに醤油を少量加えます。加熱してソースにとろみが出てきたら、最後にレモン汁を加えて、ソテーしたタチウオにソースをかけましょう。



タチウオは淡白な魚なので、“プラスアルファの旨味”で味わいが大きく変わります。今回のようにホタテを使ったソースもオススメですが、エビや牡蠣、アンチョビなどでも同じように楽しめます。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「チカト商会」https://chikatoshoukai.com/
Twitter:@rakurou21

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