東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.37- お手軽ファミリーフィッシング『カタクチイワシのボケロネス』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

9月も半ばを過ぎ、秋の行楽シーズンはこれからがいよいよ本番。週末は山へ紅葉狩りやキャンプに行かれる予定のご家族も多いことでしょう。しかし秋のアウトドアは山だけではありません。海に行けばこの時期、釣って楽しい&食べて美味しい「カタクチイワシ」に出合うことができます。

『カタクチイワシ』ってどんな魚?

カタクチイワシは体長約10cmほどの小さな魚で、頭が大きく突き出して、口が上あごしかないように見えることから、「片口」という名前が付けられています。

「イワシ」はもともと小魚全般を指す言葉で、日本でイワシと言えば、カタクチイワシ以外にもマイワシやウルメイワシなどが有名です。カタクチイワシ・マイワシ・ウルメイワシは生物学的にも食用的にも大きな違いがあり、英語ではマイワシを「サーディン」、ウルメイワシを「へリング」、カタクチイワシを「アンチョビ」と呼び分けています。

どこで釣れるの?

カタクチイワシは日本各地の沿岸に広く生息しており、至る所で釣ることができますが、回遊魚なので群れが移動してくる時期と場所を見つけなければなりません。そこで関東では9~11月ごろの、カタクチイワシが岸に寄ってきやすい時期に最寄の釣り具屋さんに連絡をして、群れが回遊して来ているかを確認してみましょう。特に東京湾や伊勢湾といった場所では、季節によって巨大な群れが入ってくることも多いので大漁が期待できます。

どうやって釣るの?

カタクチイワシ釣りには、釣具屋さんに売っている『サビキ釣りセット』がおすすめです。価格は2500円ほどなので、餌代と合わせても3000円程度で充分に釣りを楽しむことができます。

餌は『アミ』と呼ばれるプランクトンの塊を餌カゴに詰めます。手に付くとベタベタして生臭いので、アミを掬(すく)うスプーンを用意しておくとよいでしょう。

釣り方はアミを餌カゴに入れて防波堤から足元の海面に落とすだけでOKです。カタクチイワシの群れがやってくるとアミと間違えて針をくわえるので、竿先がブルブルと震えます。1匹かかった後もしばらく様子を見ていると、他の針にも次々とカタクチイワシが食いつき“鈴なり”の状態になります。

もし周りは釣れているのに自分の竿に魚が食いついてこない場合は、針が大きすぎる事が考えられます。取り付けるのに少々コツがいりますが、トリックサビキという方法で餌を直接針に付ける道具を使えば、釣れる確率はかなり高くなるので、興味のある人は釣具屋さんに相談してみましょう。

カタクチイワシの下処理

カタクチイワシは傷むのが早いので、釣り上げたらクーラーボックスに入れて冷やして持ち帰りましょう。傷みは腹から進むため、釣り場ですぐに頭と胸ビレを落とし、内臓とウロコを指でこそげ落として下処理をしておくとよいでしょう。

カタクチイワシを現場で下処理する際は、真水で洗うと身がブヨブヨになってしまうので、海水でゆすぐようにしましょう。家に持ち帰って下処理する場合も、あまり真水に浸けすぎないように、ザルに取って、さっと水を流すようにして洗います。



日持ちもする絶品カタクチイワシ料理『ボケロネス』

刺身やフライ、またアヒージョにしても美味しいカタクチイワシですが、時には何百匹も釣れてしまうので保存の利く料理方法が知りたいところです。そこでおすすめなのは、スペインのバルでおなじみのカタクチイワシを使った酢漬け、『ボケロネス』です。

[材料]
・カタクチイワシ 
・10%の塩水…カタクチイワシがひたひたに浸る分量
・ワインビネガー…カタクチイワシがひたひたに浸る分量
・ニンニク…2片
・ヨーロピアンパセリ…1束
・オリーブオイル…保存瓶にひたひたに入る分量


[作り方]
1.下処理したカタクチイワシを開いて、背骨をナイフですき取る。
2.ボールに10%の塩水を作ってカタクチイワシを入れ、冷蔵庫で1日保存する。
3.カタクチイワシの水気をよく切り、金属バットに並べてワインビネガーをひたひたに入れ、刻んだニンニク、パセリを散らして2日ほど漬ける。
4.保存する場合はワインビネガーをよく切ったカタクチイワシを瓶に詰めてオリーブオイルを注ぐ。



ワインビネガーは、赤を使うとギリシャ風、白を使うとスペイン風になります。

カタクチイワシの新鮮な美味しさを残しながら半年以上も日持ちするボケロネスは、そのままワインのおつまみとして食べても良し、パンにはさんで食べても絶品です!




【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21

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