東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.1- 二度美味しい『ジンドウイカの刺身と甘辛大根煮』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について教えていただく連載がスタートします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

釣って楽しく、食べておいしい「イカ釣り」は、数ある釣りの中でも抜群に人気のあるジャンルです。もちろんイカといっても色々な種類がいますが、「今夜にでもちょっと仕事帰りに楽しみたい」のであれば、短い竿と小型のエギを使った、ミニサイズのジンドウイカ(ヒイカ)釣りがおすすめです。

『ジンドウイカ』ってどんな魚?

皆さんがスーパーなどで目にするイカは体長約30cmのスルメイカやケンサキイカだと思いますが、釣りの世界では大型のアカイカ(ムラサキイカ)やアオリイカ(モイカ)、コウイカなどいろいろな種類を目にすることができます。その中でもジンドウイカ(ヒイカ)は、体長約10cm程度の小型のイカなので「手軽なイカ釣り」のターゲットとして釣り人に親しまれています。

どこで釣れるの?

集団で回遊してきたジンドウイカは、流れが緩い内湾や港の中で小型のイワシやアジなどの小魚を捕食します。北海道以南であれば日本全国に分布しているため、回遊情報さえ事前につかんでいたら釣り場選びには苦労はしないでしょう。

ただし、ジンドウイカは地域によって釣れる季節が異なる点に注意しましょう。一般的に関東では11~1月、九州では8月ごろがシーズンになります。

また地域によってヒイカやコイカ、ポンポンイカ、ボウズイカなど呼び名が多数あるので、近所の釣具屋さんに情報を聞くときは、事前に何と呼ばれているか調べておきましょう。

どうやって釣るの?

日本各地にさまざまな釣り方があるイカ釣りですが、最も手軽で人気が高いのが「エギ」を使った方法です。
 エギ(餌木)は小魚を模したルアーの一種ですが、一般的な魚の針が“J”型をしているのに対して、エギはイカの柔らかい身を引っかけるために“傘”型をしています。使用するエギのサイズはイカの大きさによって変わり、小さなジンドウイカには小さな1.5~2.0号がよいでしょう。

また、イカは非常に目が良い魚なので、カラフルな配色やラメが入ってキラキラ輝くものをいくつか用意しておきます。海中にライトを当てておくと非常に釣りやすくなりますが、茨木、千葉、東京、岡山、広島、香川、熊本、沖縄では魚を寄せるためにライトを使うことは禁止されているので注意しましょう。

釣り方のコツとしては、まずエギを遠くに投げた後に、一呼吸おいて、竿先をチョンチョンと小刻みに動かしながらリールを巻いていきましょう。しばらくするとエギが止まったタイミングで竿先にグッと重さが乗ってくるので、糸を緩ませないように引き寄せていきます。

一口サイズの喜び『ジンドウイカの刺身と甘辛煮』

釣れたてのイカを刺身にする場合は、胴を二つに割って頭と一緒に内臓を取り、細くて透明な中骨を外して表面の薄皮を剥ぎましょう。
 イカは総じて大きくなればなるほど“大味”になる傾向があるので、この小さいジンドウイカの刺身は格別です! コリコリとした食感の中にケンサキイカに似たねっとりとした甘みを楽しみましょう。

また、しょうゆとみりんを1:1で割ったものを深めのタッパーに入れて釣り場にもっていき、釣れたジンドウイカをそのまま漬け汁に放り込んで「沖漬け」にするのもオススメです。ホタルイカの沖漬けよりもあっさりとした味わいですが、1週間ほど熟成させると旨味が増して堪えられないほど良い酒の肴になります。

刺身で余った頭とゲソは捨てずに、大根などの野菜と唐辛子で煮た「ピリ辛煮」にしましょう。魚の“内臓”というと生臭い印象がありますが、イカの内臓、特にジンドウイカの内臓は濃厚な旨味とコクがあるので煮つけ料理には最高です。
 ただし、イカはあまり長く煮込むと固くなってしまうので、大根を下ゆでした状態でジンドウイカを入れて余熱で火を通し、一端冷まして味をしみこませるようにしましょう。





【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書『これから始める人のための狩猟の教科書』、『イラストマニュアルはじめての養蜂』など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
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