東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.5- 海の野菜、海藻を獲って食べよう! 『ヒロメのしゃぶしゃぶ』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

寒さが本格化するこの季節、休日はアウトドアに出かけるよりも温かい家の中でくつろぎたいと思う人も多いはずです。それは魚も同様で、水温が下がると魚たちもより温かい海底を目指して沖の方へ移動していきます。「魚がいなければ釣りもオフシーズンか」…と思いきや、こんな時期こそ防波堤は“海藻採り”で大盛り上がりです。

身近な海で採れる海藻ってどういうものがあるの?

海藻は食料品店に行けば一年中見ることができますが、おそらく多くの人は海に漂う“生”の姿を見たことがないのではないかと思います。

海藻の種類は数限りなくありますが、美味しいワカメやコンブ、ノリ(ハバノリ)といった海藻のシーズンは、1~4月に集中しています。海水温がぐっと低下するこの季節は、海藻の身が締まり、歯触りが良く、旨味も凝縮されるので、釣り人たちはこぞって寒い時期に海藻採りに出かけます。

食べて美味しい海藻の種類には、ワカメやコンブといったメジャーどころだけでなく、ヒロメ、アカモク、カジメ、アオサ、モズクなどたくさんの種類があります。これまでこのような一部のマイナーな海藻は、家庭で採取され、密かに食べられる程度でしたが、近年では芳醇な旨味と爽やかな磯の香り、豊富なミネラル分と食物繊維、そして低カロリーという魅力から注目が集まり、地方のスーパーでも見かけるようになりました。



どこで獲れるの?

海藻は同じ海域でも細かな海流の変化や温度差などによって発生に偏りがでるため、いつ・どこに・ どんな海藻が発生するかは、実際にその海を見るまでわかりません。しかしこの季節の防波堤付近には“何らかの食べられる海藻が生えている”ので、散歩気分で海藻採りに出かけましょう。

ただし海藻を獲る場合は「漁業権」が指定されていないか注意しましょう。特にワカメやコンブといったメジャーな海藻は、その地域の重要な水産資源になっていることも多いので、周囲に漁業権について注意喚起している看板がないか、よく確認するようにしましょう。
 船着き場があるような堤防では漁業権が指定されていることはめったにありませんが、もしその地域の人から注意を受けた場合は、必ず中止するようにしましょう。


どうやって獲るの?

海藻を獲る道具は、長い棒の先端に鎌を結び付けて自作する人も多いのですが、よりコンパクトに持ち運びたいのであれば、“伸縮棒付きのギャフ”がベストです。ギャフはもともとイカを釣り上げるときに、身に引っかけて引き寄せる道具で、先端にいくつかのカギ爪が付いています。このカギ爪を使って防波堤のへりを探り、海藻を引っかけて回収しましょう。

海藻が上から見えている場合は、あまり大きいものは固くて味も落ちるので、なるべく小振りのものを狙いましょう。また海底に近い海藻は、巻き上げられた砂が多く付着しているので、なるべく海上に近いものを選びましょう。

海藻狩りは岸のギリギリを歩くので、足を滑らせて海に落ちないように十分注意してください。必ずライフジャケットを着用し、万が一落ちた場合に備えて、どこにハシゴがあるか、周囲を確認しておきましょう。


生海藻は「しゃぶしゃぶ」でいただこう!

人間の体に必須な“ヨウ素”を多く含み、ヘルシーで美味しい生海藻が、せっかく新鮮な状態で手に入ったので、ここはやはり“刺身”で食べたいところです。しかし生の海藻は消化が悪いため、生の歯ごたえを残したまま旨味が引き立つ“しゃぶしゃぶ”にするのがおすすめです。


【下処理】
持ち帰った海藻は表面に泥や砂が付いているため、流水でよく揉み洗いしましょう。大きい海藻であれば、真水で洗う前に大きめに切っておくと、掃除がしやすくなります。




【食べ方】
水を入れた鍋を火にかけて、沸騰してきたら小切りにした海藻を入れてポン酢でいただきましょう。生の海藻はイメージよりも暗い色をしていますが、熱を通すと鮮やかな緑に変色します。あまり長く火にかけすぎると色も落ちてグニャグニャになるので、“サッ!”とくぐらせるだけでOKです。

しゃぶしゃぶの後は海藻の良い出汁が出ているので、味噌汁などに利用しましょう。また、余った海藻は干しておくと、いろんな料理に使えて重宝します。




【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
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