【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.9- お気軽フィッシングで上質スープを『小メバルのフュメ・ド・ポアソン』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

暖かい風が南から吹いてきたと思いきや再び北から冷たい風が。「三寒四温」という言葉があるように、まだまだ寒い日々が続きます。しかし寒さを逃れるために沖に逃げていった魚たちが戻ってくる日はそう遠くはありません。そこで春一番が吹く季節には「春告魚」を釣りに出かけましょう!

『メバル』ってどんな魚?

春の産卵の季節に向けて栄養を蓄え美味しくなることから、「春告魚」とも呼ばれるメバルは、日本では北海道から九州にかけて広くみられる海水魚です。メバルは住んでいる海域によってアカメバルやシロメバル、クロメバル、ウスメバルなど色柄が全然違います。生物的になかなか面白い特徴を持っている魚ですが、種類の違いが“味“に影響することはあまりないので、雑学程度に覚えておきましょう。

どこで釣れるの?

英語で「ロックフィッシュ」と呼ばれるメバルは、昼間は岩場の隙間に潜んで暮らしている魚なので、足元に沢山のテトラポッドや岩が積まれている堤防に行くとよいでしょう。またメバルは夜行性の魚なので、夜に街灯が点く港で釣るのもおすすめです。

どうやって釣るの?

かわいい顔をしたメバルですが、“動くものはとりあえず何でも口に入れる”という、意外と貪欲な性格をしています。そこでメバル釣りは、餌を買いに行く手間のない、お手軽なルアーフィッシングがおすすめです。

メバルを釣るルアーフィッシングは“メバリング”と呼ばれ、短い竿に小さなリール、そしてルアー(疑似餌)を使います。メバリングの竿は収納すると50cmぐらいに収まるので、竿をバッグに入れて仕事帰りに釣りを楽しむサラリーマンも多いようです。

ルアーは大きく、ワーム、ミノー、メタルジグ、アイスジグの4つに分類されます。メバリングではどれを使っても釣れますが、魚たちにはその日食べたい餌の“トレンド”があるので、何種類かをバッグの中に忍ばせておくとよいでしょう。

またルアーには、スズキやタチウオなどの大物が食いつくこともあるので、油断して竿を持っていかれないように注意してください。

ルアーの種類

【ワーム】

・モチーフ ミミズなどの虫を模したゴム製のルアー。
・動かし方 海面まで上げて、ゆっくりと沈めていく。この時小刻みに動かすとよい。
・釣れる魚 メバル、アジ、サバ、たまにスズキなど。

【ミノー】

・モチーフ イワシや小アジ、小サバなどの小魚をモチーフにしたルアー。
・動かし方 リールをグリグリ巻いて、少し止めるを繰り返す「ストップアンドゴー」。
・釣れる魚 メバル、中アジ、中サバ、スズキ、ヒラメなど万能に狙える。

【メタルジグ】

・モチーフ 金属の板に魚に似せた模様を描いたルアー。重さがあるので投げると遠くまで飛ぶ。
・動かし方 遠くに投げて、しばらく沈めてから高速でリールを巻く。沈める深さを表層、中層、海底と変えて探っていく。
・釣れる魚 主にスズキやヒラメ、ヤズ(ブリの若魚)などの大物。

【アイスジグ】

・モチーフ 元は氷に穴をあけて氷上から魚を釣るためのルアー。
・動かし方 堤防から足元に落として、ピョンピョンとはねるように動かす。
・釣れる魚 メバルやカサゴ、ソイなどの岩場に住む魚。たまにスズキやタチウオ。

出汁を楽しむ『フュメ・ド・ポアソン』

メバル料理と言えば思い浮かぶのは、やはり「煮つけ」でしょう。ギュッとしまった上品な白身は、酒の肴にも、ごはんのおかずにも最高です。しかし釣り人が多い防波堤で釣れるのは10cmぐらいのメバルばかりで、煮つけにできるような大物にはなかなかお目にかかれません。小メバルをキャッチ&リリースして遊ぶのはよい気晴らしにはなりますが、「できれば釣った魚は責任をもって食べたい」というかたも多いと思います。そこでおすすめなのが小メバルを使ったフュメ・ド・ポアソンです。

【材料】
・小メバル あるだけ
・玉ねぎや人参 1本(野菜くずでも可)
・酒、もしくは白ワイン スープ1lに対して100cc
・お好みで乾燥ハーブ(パセリ、タイム、ローリエなど)

【作り方】
1.適当に刻んだ玉ねぎ、人参(もしくは野菜くず)を色がつかないように弱火で炒める。
2.内臓を取った小メバルを半分にして野菜と一緒に弱火で炒める。
3.水をひたひたになるまで加えて、酒、もしくは白ワインを入れる。
4.いったん強火にかけて沸騰させ、グツグツ言い始めたら弱火にする。
5.あくを丁寧に取り除き、鍋がコトコト言わない程度の火加減で30分ほど煮る。
6.火を止めて目の細かい網でスープを濾す。

フュメ・ド・ポアソンとは、魚のアラを使った出汁のことです。もともとはスズキやヒラメといった大型の白身魚のアラから煮出すスープがメジャーですが、メバルを使っても勝るとも劣らない素晴らしい風味と旨味が出ます。

この出汁は、少量の塩を入れてスープとしていただいてもよいですし、ご飯を入れて“おじや”にするのもまた格別です。また、この出汁にエビやムール貝、タイやヒラメなどの魚介類、玉ねぎ、ジャガイモ、トマトなどの野菜を入れて煮込むと、世界三大スープと名高い「ブイヤベース」になります。

魚の出汁は強火でグツグツ煮ると臭みが出てしまいます。濁りも出てしまうため火加減には十分注意してください。

 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
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