【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.7- 極寒の時期でも穴釣りで 『カサゴのネギ酒蒸し』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

変温動物である魚たちは温度の変化に非常に敏感で、海水温が10℃を下回る真冬になると、水温が一定の海底に避難してしまいます。

しかし中にはどんなに環境が厳しくても住み家を移動しない偏屈な魚もいます。寒さが厳しい季節はテトラポッドの隙間に潜むカサゴ釣りを楽しみましょう!

『カサゴ』ってどんな魚?

ゴツゴツした体と大きな頭が特徴的なカサゴは、ほぼ日本中の海に生息しており、地方によって「アラカブ・ガシラ」(九州)、「ガガネ」(徳島)、「ボッコ」(島根)などさまざまな名前を持っています。大きさは概ね20cm程度ですが、10年以上生きた個体は40cmを超えることもあり、ときおり釣り場を賑わせてくれます。

どこで釣れるの?

カサゴは岩と岩の隙間に住み家を構える「根魚(ロックフィッシュ)」と呼ばれる魚の一種で、テトラポッドや捨て石がある海には“必ず”と言っていいほど生息しています。またカサゴは「一度居着いた場所からは住み家を変えない」というガンコな性格を持っているので、他の魚が嫌がるような海水が冷たい時期や暑い時期でも同じ場所で1年を通して釣ることができます。

どうやって釣るの?


寒い時期でも住み家を変えない我慢強いカサゴですが、さすがにウロウロと泳ぎ回って餌を探すような元気はなく、この時期は半分眠ったような状態で住み家の岩場でじっとしています。

そこで真冬のカサゴ釣りではブラクリという仕掛けを用いて、餌を目の前まで持っていく穴釣りが有効です。“ブラクリ”とはオモリの先端に釣り針が付いた仕掛けで、餌を付けて海に落とすと「ひらひら」と餌が揺れるように沈んでいきます。この仕掛けをテトラポッドのような隙間に落とすと、ひらひらした餌の動きにカサゴの食欲スイッチが入り、元気のない状態でも釣り餌に喰いついてきます。

穴釣りでカサゴを釣るコツは“ラン&ガン”と呼ばれる戦法で、ブラクリを落として数秒待っても当たりが無かったら、すぐに別の場所に移動しましょう。真冬のカサゴは動き回る元気はないので、餌を目の前まで持っていかないと食いついてくれません。そこで同じ穴で粘るのではなく、とにかくいろんな穴に仕掛けを入れてみる“手数”が重要になります。

またカサゴは危険を感じると体を膨らませて体のゴツゴツを岩場に食い込ませて身を守ります。こうなるとカサゴはテコでも動かなくなるので、竿がコツコツと揺れたら間髪を入れずに引っこ抜くようにして釣り上げましょう。

穴釣りでは足場の悪いテトラポッドの上を動き回るので、海に落下しないよう十分に注意しましょう。テトラポッドは濡れると滑りやすくなるため、足底にフェルトが付いた専用の長靴を履いておきましょう。なお、スパイク付きの靴は逆に滑りやすくなるので避けましょう。

頭でっかちのカサゴは出汁が美味い

小さい物でも1匹500円以上する高級魚のカサゴ。確かに白身の味わいは素晴らしいものがありますが、カサゴは頭がデカいので見た目よりも身がありません。そこでカサゴ料理は身だけではなく、頭や骨も利用した料理が最適です。

20cmほどの大きなカサゴが釣れた場合は、腹を割らずにエラから内臓を引き抜いて“壺抜き”という方法で捌きます。この状態で腹の中に細切りにしたネギと酒を詰めて蒸し上げると、ネギにカサゴの芳醇な旨味が染み込んだ「カサゴのネギ酒蒸し」になります。

カサゴはメバルなど他のロックフィッシュと同様に、頭や骨から上質の出汁(ブイヤベース)が取れるので、絶対に無駄にしてはいけません。

また10㎝程度の小ぶりのカサゴは、“背開き”にして、から揚げにするのがオススメです。背骨がむき出しになるよう包丁を入れ、頭の骨を細かく潰して120℃程度の低温の油でじっくりと揚げると、頭も骨もパリパリと食べることができます。






【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
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