東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.14- 居眠りするほどよく釣れる『カレイの煮つけ』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

春眠暁を覚えず。寝ても寝ても眠い春、でも休日の昼間を寝て過ごすのは忍びない…そんな方は「カレイ」を釣りに出かけるのはいかがでしょうか? カレイ釣りには色々な道具が必要です。まず折り畳みの椅子と机、お湯を沸かすカセットコンロとお昼ごはんのカップラーメン、4月の海は意外と紫外線が強いのでビーチパラソルを持っていくといいでしょう。…え? 釣り具? それは適当で構いません。

『カレイ』ってどんな魚?

カレイは皆さんもよくご存知の通り、平べったい姿をした魚で、海底に体をピッタリとつけて、主に砂の中の虫を食べています。カレイによく似た魚にヒラメがいますが、「口を手前にして置いたとき、頭が左を向いたらヒラメ、右を向いたらカレイ」で見分けることができます。もし釣りあげた平べったい魚を見てカレイかヒラメかわからなくなったら、カタカナで名前を書いてみて2文字目の跳ねる方向を思い出してみましょう。ヒラメの「ラ」は左跳ね、カレイの「レ」は右跳ねです。またカレイとヒラメは口の形で見分けることもできます。

どこで釣るの?

カレイは暑いのが苦手な魚なので、夏場は船に乗って釣りに行かなければなりません。しかしまだ海水温が低い春先は、ビーチや防波堤といった近場で釣ることができます。本来、カレイに脂がのる旬は、深い海にいる夏場ですが、春先は産卵を終えて、体力を回復させるために餌をよく食べるようになるので、釣れやすくなります。釣り人の間ではこの季節の釣れやすいカレイを「花見ガレイ」と呼んだりしています。

どうやって釣るの?

カレイは海底を泳ぐ魚なので、仕掛けにオモリと針を付けて投げる「天秤仕掛け」で釣ります。針にはアオイソメ(ゴカイ)を1匹ではなく、2~3匹引っかける「房掛け」にしておきましょう。

カレイは昼間の大半は砂の中に潜って寝ており、お腹が空くとフワフワとエサを探しに泳ぎ出します。エサを見つけたときも「パクリ!」とは食べず、エサの端っこをくわえてからモソモソと飲み込んでいきます。このようにカレイはノンビリ屋なので、せっかちに糸を巻いたり、移動を繰り返したりしてはいけません。よって釣り人側も「まぁ、釣れたらラッキー」程度の心持ちで、気長に構えるのがカレイ釣りのポイントです。

まず竿は3本ほど用意しておき、竿先に鈴をつけておきましょう。仕掛けを飛ばしたら後はひたすら待つだけです。砂浜で釣るなら折り畳みの椅子は必要です。海風は冷たいので、お湯を沸かして温かい飲み物を用意できるよう、準備もしておいた方がいいでしょう。また4月とはいえ海の紫外線は強いので、できればビーチパラソルを用意して、肌には日焼け止めクリームを塗っておきましょう。カレイが針にかかると「チリリン!」と鈴が鳴って教えてくれるので、竿先を頑固に見つめている必要はありません。春の陽気に身を任せてうたた寝するぐらいの緩い感じでいきましょう。

釣れたカレイで味比べ「カレイの煮つけ」

脂がのったカレイは刺身にすると甘味が強く、ヒラメとはまったくちがう美味しさがあります。しかし産卵を終えたばかりの花見ガレイは身がやせていることも多いので、から揚げやクリーム煮などで油分を足すと良いでしょう。

カレイは火を入れすぎるとパサパサになってしまうので、煮つけにするときは、お鍋にまず料理酒、醤油、みりん、砂糖を入れてから火にかけて、沸騰する寸前で弱火にしてカレイを入れ、煮詰めましょう。タレに照りが出てきたら火を止めてフタをし、蒸気で蒸し上げるイメージで熱を通すと、身をふっくらと仕上げることができます。

さて、ここでは「カレイ」とひとくくりでお話してきましたが、実はカレイにはマコガレイ、ババガレイ、イシガレイ、アカガレイ、オヒョウ、マツカワガレイなど、実に多くの種類が存在し、さらに味わいがまったく違います。そこで釣れたカレイが何の種類かを調べてみて、食べ比べてみると面白いでしょう。カレイの本場の北海道では、利き酒ならぬ“利きガレイ”を楽しめるお店もあるそうです。


 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21