【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.18- ナマズはナマズ味『ナマズのムニエル』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

前回のウナギの話を読まれた人の中には、「ウナギって数が減ってるんだから、釣らないほうが良いんじゃないの?」と思われた方も多いかと思います。たしかに、近年、数が激減しているウナギを捕まえて食べるのは、少々気が引ける話です。それでは、ウナギに勝るとも劣らない『ナマズ』釣りはいかがでしょうか?

『ナマズ』ってどんな魚?

日本人になじみ深い三大ヌメヌメ魚といえば、ウナギ、アナゴ、そしてナマズです。沖縄などの離島を除いて日本に生息しているナマズは“マナマズ”と呼ばれる種類で、日本のみならず中国や朝鮮半島、台湾など東アジアに広く分布している淡水魚です。古代から主に食用として珍重されてきた魚ですが、その大きな体と4本の長く伸びたヒゲ、そして水の中をユラユラと泳ぐ威厳のある姿から、太古より観賞用としても人気がありました。

ところで、ナマズと言えば「暴れて地震を起こす」という俗説が全国各地にありますが、それは地震が起こる直前に地面から湧き上がる微弱な電気を、ナマズの長いヒゲが敏感に感じ取ってしまい、驚いて飛び跳ねてしまうからだと言われています。

どこで釣れるの?

ナマズは、綺麗な川から民家の間を流れる水路まで、淡水であれば幅広く生息しています。そのため、ウナギと棲んでいるところが被っていることも多く、ウナギ釣りをしているとナマズもよく釣れます。

釣る季節は、小魚や昆虫の活性が上がり、肉食性のナマズの餌がたくさん増える5月ごろがベストです。もちろんナマズは5月以降の夏場でも釣れますが、暑い時期の川辺は羽虫が大群で押し寄せるので、えらい目に遭います。

どうやって釣るの?

ナマズはウナギと同じように、ドバミミズなどの生き餌でよく釣れますが、大型の肉食魚であることを利用してルアーで釣るのも人気です。特にナマズは小さなカエルが大好物なので、ルアーはカエルの姿に似せた「フロッグホッパー」がよく使われます。

ホッパーは水に沈まず、水面に浮くタイプのルアーで、水の上を引っ張ると、大きく開いた口の中に空気が入って「かぽ…かぽ…」と音がする仕組みになっています。

ナマズは昼間でも釣れますが、ホッパーを使う場合は夕暮れから日没後1時間ぐらいがベストです。まず、川辺や溝の付近を歩いて、水上からナマズの姿を探しましょう。暗い中で魚を見つけるのは難しそうに思えますが、ナマズは体が大きく、月明かりを受けると目がキラッと金色に光るので、見つけることは意外と簡単です。

ナマズを見つけたら、正面から1m先ぐらいに、「カエルが葉っぱの上から足を滑らせて落ちた」ようなイメージで、「ポチャン!」とホッパーを投げ込みます。ナマズは食欲旺盛な魚ではありますが、体が重く、獲物を追い回すスタミナはないので、「弱っている小動物」を狙っています。よってホッパーを落としたあとの動かし方も、リールをグリグリ巻いて元気よく動かすのではなく、「ちょっと動かして…一休憩。またちょっと動かして…溺れたフリをして『かぽかぽ』音を出す」といったように、「あ! こいつ、なんだか弱ってるな!?」とナマズに思わせるような動かし方をしましょう。




川魚臭い場合は皮を剥ぐ

ナマズ料理はウナギのように蒲焼や白焼きが一般的ですが、ウナギと同じように熱を加えると、すぐに油が落ちてパサパサになってしまいます。そこでおすすめなのがムニエルです。ムニエルは食材に小麦粉をつけてバターで焼く料理法で、衣が食材の旨味と脂を閉じ込めるため、ふっくらと焼き上がります。

近年、ナマズを「減少しているウナギの代用品として使おう」という計画が聞かれますが、ナマズの身はウナギよりも淡泊でクドさがなく、もっちりと肉厚で食べごたえがあります。

ウナギは確かに美味しい魚ですが、ナマズもまた美味しい魚。ナマズをウナギの代用品と言ってしまうのは、ナマズに対して失礼な話です!

なお、ナマズは獲れた場所によっては、かなり川魚臭さがあります。この臭いは環境によるものなので、1週間ほど綺麗な川や井戸の水などに浸けて生かしておけば、臭いはほとんど消えてしまいます。中には家のお風呂や洗面台で飼う人もおり、塩素を中和した水道水を使えば、4~5日ほど生かしておくことができます。

…もちろん、お風呂場でナマズを飼うなんて、一人暮らしならいざ知らず、ご家族がいる場合はトンデモナイ非難を浴びることになると思います。その場合は皮と皮下脂肪を綺麗に除去して料理をすれば、臭いはほとんど気にならなくなります。



 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
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