【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.20- 禁じ手の技を使ってプロのアジに『究極アジフライ』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

日本人の食卓になじみ深い「アジ」は、釣りにおいても大人気のターゲットです。特に20cm未満の小アジは水温が高くなると岸に向けて回遊をしてくるので、5月頃から近場の堤防などでもよく釣れるようになります。

もし小アジがたくさん釣れたのなら、刺身はもちろん、焼き魚や煮魚もよいのですが、オススメなのはアジフライです。美味しく作るためにはかなりのコツがいるアジフライですが、アジフライ道の禁じ手と呼ばれる技を使うことで、自宅でも絶品のアジフライを作ることができます。

『アジ』ってどんな魚?

「アジ」には、私たちに最もなじみ深いマアジから、くさやの原料となるムロアジ、高級食材として名高いシマアジ、最大で体長1mにまで成長するギンガメアジなど、様々な種類が生息しており、これらアジの仲間の多くは、体の横に固く尖った稜鱗(ゼンゴ)が並んでいます。

マアジには、春から夏にかけて水温の上昇と共に日本列島を北上していく回遊性と、生涯を通して棲む海域をあまり変えない定着性がおり、回遊性のクロアジは体が細く、黒っぽい色になり、定着性のキアジは体が丸く、色は黄色っぽくなります。両者は見た目だけでなく味わいも大きく異なり、特に豊後水道の豊予海峡に生息するアジは、見た目も味も良いことからブランドアジ(関アジ)として知られています。

どこで釣れるの?

群れで海の中を泳ぎ回っているアジは、棲んでいる場所によって岸に近づいてくる時間が違います。そこで釣り場近くの釣具屋さんなどで、アジが回遊してくる時間の情報を仕入れておきましょう。

どうやって釣るの?

アジ釣りは、撒き餌を使った餌釣りが一般的ですが、アジはだいたいの地域で夕方から夜中にかけて岸に近づいてくるので、仕事帰りに気軽にルアーで楽しむ「アジング」と呼ばれる釣り方が人気です。

20cm程度のアジを釣る場合は、ワームと呼ばれるプラスチックでできたルアーを使用します。このルアーをできるだけ遠くに投げて、虫が水中をピョンピョンと跳ねるような感じで動かしていきましょう。
 アジがルアーをくわえると、竿が「ビン! ビン!」と震えるような当たりがあるので、焦らずに糸の張りを保ったままゆっくりとリールを巻きましょう。アジの口は薄いので、急に引っ張ると切れてしまうので注意してください。

釣れたアジはすぐに首を折って血抜きし、氷の入ったクーラーボックスに入れましょう。サバやイワシほどではありませんが、アジも鮮度が落ちるのが早いので、下処理を完璧にしないと美味しい料理にはなりません。

松葉おろしにする

アジフライにする場合は、背中を縦に開いて背骨を取った“松葉おろし”という形にさばきましょう。アジの身は崩れやすいので、よく切れる包丁を使うようにしてください。

アーモンドでサクサク香ばしい衣に

庶民的なイメージの強い「アジフライ」ですが、衣をサクッ!と、中はホクホクジューシ―に揚げるには、並々ならぬ料理の腕が必要であり、一朝一夕ではなしえない“アジフライ道”と呼ばれる奥深い世界があります。しかしそんな苦労をしなくても、「衣にアーモンドを混ぜる」というアジフライ道で禁じ手とされる荒業を使うことで、究極のアジフライを自宅で簡単に作ることができます。

まず、松葉おろしにしたアジ1匹に対して、アーモンドを2粒ほど用意します。このアーモンドと、塩、オレガノを少々加えてミキサーにかけます。アジは薄く塩を振って、キッチンペーパーの上で10分ほど置いて水分を取ります。


アジに小麦粉を薄くつけて、溶き卵、アーモンドの順番で衣を付けます。衣の付いたアジは約170℃に熱した油でじっくり揚げて、表面がキツネ色になったら、よく油を切って完成です。


普通のアジフライは、高温で揚げると中に火が通らず生臭さが残ってしまい、かといって低温すぎると衣が油を吸ってベタベタになってしまいます。しかし衣にアーモンドを混ぜておくと、低温の油でもカリっとした食感と香ばしさが出るので、揚げ油の温度に深くこだわる必要がありません。さらにアーモンドの油がアジの表面をコーティングするため、旨味がギュッと閉じ込められて、ふっくらとした仕上がりになります。

 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21