東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.21- 見た目は恐いが根は美味い『エソのすり身揚げ』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

ヌラリとした細くて長い体と、エイリアンのように大きく口が裂けた「エソ」は、その恐ろしい姿から釣れても気味悪がられて、捨てられることの多い魚です。しかし見た目とは裏腹に、その味は高級料亭でも出されるほど素晴らしく、料理方法さえ知っていれば釣れてうれしい外道といえます。

『エソ』ってどんな魚?

細長い体と大きく開く口から爬虫類を連想させるこの魚は、英語ではリザードフィッシュやスネークフィッシュと呼ばれています。その顔つきからもわかるとおり食性は肉食性で、獲物を見つけると大きな口を広げて襲いかかり丸のみにします。しかも同じ仲間同士であっても、腹が減ったら共食いをするといったどう猛な性格をしています。

どこで釣れるの?

エソは全世界の熱帯・亜熱帯の海に幅広く生息しており、船釣りではもちろん、岸からの釣りでもよくお目にかかります。逆に言うと、メインでは狙いにくい魚なのですが、エソは昼間は砂の中に潜っていることが多いので、浜のある堤防に行くと釣れやすくなります。

どうやって釣るの?

エソは小魚を食べるフィッシュイーターと呼ばれる魚なので、ルアー釣りでよく釣れます。しかし、釣れる可能性をより上げたいのであれば、餌に小魚を使った「泳がせ釣り」という釣法で狙うのがオススメです。

泳がせ釣りは、餌に生きた小魚を付けてフィッシュイーターを狙う釣法です。仕掛けにはトリプルサルカンという糸を三つ又に出す部品を使って、小魚が海底にとどまるようにします。泳がせ釣りは、まず餌となる小魚を釣っておかなければならないので、かなり手間のかかる釣法ですが、本命のエソだけでなく、ヒラメやスズキ、マゴチ、イカといったうれしい外道もかかってきます。

餌の小魚にはアジがベストです。針は背にかける方法や、上あごにかける方法などがありますが、鼻の穴に通す方法が魚体にかける負荷がもっとも小さくなります。

アジを針に付けたら、岸から4、5mほど先に仕掛けを放り込みましょう。針を付けられたアジは、体を小刻みに震わせて微弱な電流を発します。この電気は仲間に危険を知らせるための信号なのですが、逆にフィッシュイーターを呼びよせる効果もあるので、仕掛けを投入した後は特に何もすることはありません。待っている間はルアーで餌となるアジを釣っておきましょう。

フィッシュイーターが近づくと、アジは大暴れするので竿先が小刻みに震えます。獲物が針にかかると竿が「ぐぐぐっ」と引っ張られるので、大きく竿を立てて釣りあげましょう。

すり身界では超高級魚「エソのすり身揚げ」

エソは、その凶悪な見た目とは裏腹に、身は透き通るように白く、臭みもなく、かみしめるほどに旨味が染み出す素晴らしい肉質を持っています。しかし身には硬い小骨が無数にあるので、そのまま刺身で食べるのには向いていません。

そこでおすすめの料理方法が“練り物”です。魚の練り物というと、普通食べられないような魚で作られる加工品と思われがちですが、エソのすり身揚げはまごうことなき絶品料理! 高級料亭でも出される、知る人ぞ知る逸品です。

まずエソを三枚におろしたら、身から皮をはがしましょう。皮は利用しないので、ウロコは取らなくてもかまいません。

皮をはがした身は包丁で細かく刻んでフードプロセッサーにかけます。しっかりとミンチにできたら、卵の白身1個分と、塩小さじ2を加えて、さらに練り込みます。エソの身は少々水っぽさがありますが、塩を混ぜて練ることによって粘りが生じ、うまくまとめることができるようになります。

団子状に丸めたら、170℃ほどの中温の油でじっくり揚げます。エソの小骨はミンチにして揚げれば、ほとんど気にならなくなります。もし少しでも小骨が残るのが嫌な方は、ザルに広げたミンチを水にさらして小骨をより分け、布などで濾すと、小骨をすべて取り除くことができます。

 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
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