東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.25- お魚さばき“超”入門

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

あなたはお魚を自分でさばくことができますか? 新鮮なお魚をまるごと1匹買ってきて自分の手でお刺身にすることは、手間はかかりますが、パックのお刺身を買うよりも安く済みますし、なによりも“カッコいい”! そこで今回はアジのお刺身の作り方を例に、魚のさばき方の超基本を解説します。初めは難しく感じるかもしれませんが、包丁の扱い方に慣れてくれば、誰でも簡単にさばくことができます。

ウロコをはがす

お魚さばきの第一歩はウロコはがしです。ウロコを綺麗に取り除かないと、刺身にウロコが付いてしまう可能性が高くなり、衛生的に良くないばかりか食味も悪くなります。

ウロコはがしは、まず尻尾をしっかりと握って魚体を固定し、包丁の根元(あご)を使って大雑把にウロコを落としていきます。次に包丁の先を使って、頭の付け根やヒレの間などの細かな部分のウロコを落としていきましょう。




アジはそれほどでもないですが、魚によってはウロコが固く、包丁で取ると周りに飛び散ってしまい、キッチンを汚してしまうことがあります。そこでウロコはがしには専用の「ウロコ取り」を使うのが便利です。ウロコ取りは100円ショップにも売られているので、普段お魚をさばかない人でもキッチンに1本置いておくと良いでしょう。

頭と内臓を取る

ウロコを取ったら、ゼンゴを切り取り、頭と腹を落としましょう。腹は内臓がついているところを丸ごと切り取ることで、まな板の汚れを極力少なくすることができます。また内臓を触るのに抵抗がある人でも、これなら気持ち悪さを軽減できます。

内臓を除去したら、ここで初めて水道水を使って魚を洗います。多くの方はウロコを取ったあとに魚を洗いたくなるかと思いますが、海に生息している魚を真水にさらすと、浸透圧の関係で水分が取り込まれ、身がブヨブヨになってしまいます。よって魚を真水で洗うのは、内臓を出したあとの“1回”にとどめるようにしましょう。

三枚におろす

魚体、まな板、包丁を綺麗に洗ったら、身に包丁を入れて“三枚おろし”にしましょう。三枚おろしのコツは、包丁を背骨に沿わせて切ることです。包丁の刃が骨に当たって「コツコツコツ」と音を立てるようにすべらせていきましょう。

また包丁をノコギリのように押したり引いたりして切ると、身が潰れてグチャグチャになってしまうので、必ず引いたときだけ力を入れるようにしましょう。プロの料理人は刃先が長い刺身包丁を使って、「スパッ!」と“一引き”で切ってしまいますが、普通の包丁では刃先が短すぎて一引きで切るのは難しいため、2~3回に分けて切っていきましょう。

血合い骨を取る

半身になったら、次に血合い骨を取り除きましょう。血合い骨は血合いに沿って何本か並んで身に刺さっています。アジの場合は首の根元の2~3本が太い骨になっているので、ピンセットを使って抜き取りましょう。

血合い骨が太い大型の魚の場合は、血合いごと切り取って、身を背側と腹側に分けて“サク”と呼ばれる状態にします。

皮を引く

血合い骨を取り除いたら、最後に皮を引きましょう。アジは皮が薄い魚なので、皮の切れ目を指でつまんでシールをはがすようにして取り除きます。
皮の厚い魚の場合は、皮側をまな板に置いて、包丁を皮と身の間に入れて、皮を引っ張りながら切り取りましょう。

刺身にする

皮を引いた身を刺身にするときも、三枚おろしにしたときと同じように、包丁は引きながら使いましょう。包丁をやや寝かせるようにして切ると、身と血合いのバランスがほどよくなって見た目がよくなり、お店で売られているようなアジの刺身にすることができます。

 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
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