東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.26- 来る夏にザリガニで乾杯!『茹でザリガニ』

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

7月。梅雨の長雨の続く中、スッキリと晴れた日差しが見えるそんな日は、日光浴を兼ねて公園へ釣りに出かけるのはいかがでしょうか? 公園の池にはこの時期、冬眠から覚めた「ザリガニ」がたくさん現れるので、簡単な道具でバケツいっぱい釣ることができます。意外と楽しいザリガニ釣りに、子どもはもとより大人も大興奮まちがいなしです! え? 「そんなにザリガニを釣ってどうするのか」ですって? そりゃもちろん食べるんですよ。

『ザリガニ』ってどんな生物?

私たちがよく知る「ザリガニ」と言えば、真っ赤な甲羅に巨大なハサミを持ったアメリカザリガニです。アメリカザリガニはアメリカ合衆国のミシシッピ川流域に生息していた種で、日本には食用として持ち込まれたウシガエルの餌として入ってきました。

飼育されていたアメリカザリガニは、「日本人の食卓にウシガエルを計画」が“大失敗”したことによりお役御免となり、日本中の池や川などに捨てられて、日本の地に定着するようになりました。

どこで釣れるの?

アメリカザリガニといえば、昔は田舎で子どもたちがよく釣っていたイメージですが、近年、農薬の使用などが原因で生息数が激減しており、田んぼや用水路などで見かけることは少なくなりました。しかし、都心部の公園の池など農薬が使えない場所にはいまだ多く生息しており、「田舎の池では釣れないけれど、都会の池ではよく釣れる」という逆転現象が起きています。

どうやって釣るの?

ザリガニ釣りの道具は、棒とタコ糸、そして餌があれば十分ですが、釣り上げるのには意外とコツがいります。まず餌となるするめや魚肉ソーセージ、ちくわ、いりこなどをタコ糸にくくりつけ、水草の間にそっと落としましょう。昼間のザリガニは泥の中に穴を掘ってジッとしていることが多いので、なるべくその目の前に餌を落としてあげましょう。ザリガニが現れない場合は、餌をチョンチョンと動かして誘ってみましょう。数分待っても姿を現さない場合は別の場所に移動します。

ザリガニが餌に気付いて寄って来たら、ハサミで捕まえるまでじっと待ち、餌をつかんだら、タコ糸を少しずつ張っていきます。するとザリガニは餌に逃げられまいと両手脚を使って抱き付いてくるので、ゆっくりと引き上げて釣りあげます。

泥抜きしないならむき身に処理する

「ザリガニを食べる」と聞いた人の中には「ゲテモノだ!」と驚かれる方も多いと思います。しかしそれは大きな誤解です! ザリガニ料理は世界中で親しまれており、中華料理はもちろん、タイ料理、ケイジャン料理(アメリカ・ルイジアナ州南部の料理)、フレンチでは「エクルビス」という名前で高級食材として取り扱われているほどです。

ザリガニを一度も食べたことない人が、ザリガニ料理を「ゲテモノ」なんて呼んではいけません! まぁ、だまされたと思って一度食べてみてください。その「カニとエビの旨味を合わせたような絶妙な美味しさ」を知れば、あなたのザリガニを見る目もすっかり変わるはずです。

ザリガニ料理は唐辛子などのスパイスを利かせた汁で丸ごと茹でる調理法が最適ですが、この場合、2~3日間、ザリガニの内容物を出すための“泥抜き”をする必要があります。しかし何十匹ものアメリカザリガニを水槽で飼うのは大変なので、いったん塩茹でしてから殻をむき、背ワタ(内臓)を取り除いてから“むき身”にして料理しましょう。

ザリガニの身は尻尾のところとハサミの中についています。尻尾の身には背ワタが付いているので、破らないように慎重に取り除きましょう。また頭の中の”ミソ”もおいしく食べられるので、忘れずに取り出してください。大きく見えるアメリカザリガニですが、むくとその身は小エビほどしかなく、意外と貧相に見えます。

ザリガニのむき身はそのままピリ辛のソースに浸けて食べても良いですが、分量が少ない場合は市販の冷凍エビを混ぜてミンチにし、「ザリガニしゅうまい」にするのもおすすめです。

余談ですが、スウェーデンでは夏至の日に、茹でたザリガニとアクアビットと呼ばれるジャガイモの蒸留酒を飲んでお祝いする『ザリガニ祭り』が行われます。今年の夏はザリガニ帽子とザリガニナプキンを着けて、スウェーデンの乾杯ソング「ヘーランゴー(Helan går)」を歌いながらザリガニで乾杯するのはいかがでしょうか?


 

【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。

 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
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