東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.46- 鉄鍋を使いこなそう!

おいしい魚の条件のひとつは鮮度です。何より新鮮なのは、獲れたてピチピチの魚。自分で釣り上げた魚以上に新鮮なものはありません。そこで初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法について連載でお届けします。指南役は、狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をテーマに、幅広くご活躍中のアウトドアライター・東雲輝之さんです。

夜間の寒さが厳しくなり、蚊やアブなどの害虫もすっかり身を潜めるこの時期は、まさにキャンプにうってつけのシーズンです。夜はみんなでたき火を囲み美味しい料理を楽しめば、日常のストレスなんて、真っ赤な炭火がじわじわ燃えて灰になるように、いつのまにか消えてしまうことでしょう。さて、キャンプ料理で活躍するのが、スキレットやダッチオーブンなどの「鉄鍋」です。初心者にはハードルがなかなか高そうな調理器具ですが、手入れの仕方さえ知っていれば誰でも扱え、美味しい料理を作ることができます。

『鉄鍋』ってなに?

鉄鍋は“鋳物”と呼ばれる金属製品で、加熱した金属を打ちのばしながら成形した鍛造物とは違い、溶かした金属を鋳型に流し込んで固めて作られます。

鋳物は鍛造で作られるステンレスのフライパンやアルミ鍋に比べて重くて熱が通りづらく、手入れをしないとサビがでてしまうといったデメリットがあります。しかし反面、頑丈で壊れにくく、たき火のような直火にかけても穴が開いてしまうようなことはありません。さらに鉄鍋は、食材の中までしっかりと熱を通すことができるという、すばらしい特長をもっています。

蓄熱で食材の中までふっくらと

厚い鉄でできている鉄鍋は、薄手のフライパンや銅・アルミの鍋に比べて熱を伝える能力が低く、火にかけてもなかなか温まりません。これだけ聞くと料理するのに不便そうな鍋に思えますが、“熱しにくい”ということは、その反面“冷めにくい”ということでもあります。つまり、鍋自体に蓄えられた熱(蓄熱)をじっくりと食材に加えることができるため、分厚い肉や、固い芋、大根といった食材でも、中までじっくり熱を通すことができるのです。



また、鉄鍋の一種であるダッチオーブンは、フタも厚い鉄でできています。そこでたき火料理では、このフタの上に熱した炭を置くことで、まるでオーブンのように全方向から食材に熱を加えることができます。

空焚き+油塗りでこびり付き防止

食材を美味しく焼きあげることができる鉄鍋ですが、鉄はステンレスやテフロン加工のフライパンなどとは違い、放っておくとサビがでて食材がこびり付きやすくなってしまいます。そこで使用後の鉄鍋は必ず空焚きして水分をしっかりと飛ばし、熱いうちにサラダ油やオリーブオイルを薄く塗ってコーティングしましょう。

鉄鍋は鉄に熱した油を含ませることで、表面の微小な凹部に油の粒子が溜まっていき、焦げが付きにくくなります。このように、調理器具を手入れしながら使い続けて“成長”させていくのも、鉄鍋を使う大きな楽しみだと言えます。

釣りたて魚とスキレットで作る、簡単アクアパッツァ

「アウトドアに行く予定はないけど、鉄鍋を使ってみたい!」という方には、スキレットがオススメです。英語で「小さなフライパン」の意味を持つこの鉄鍋は、小型で取り扱いやすく、手頃なもので1つ1000円程度で買えます。見た目も小さくて可愛いので、そのまま食器代わりにもなります。そこで今回はスキレットと釣った魚で簡単に作れる、アクアパッツァをご紹介しましょう。

[材料]
 ・釣った魚……25cm程度の魚1匹
 ・ニンニク……1片
 ・アサリ……20個程度
 ・トマト……1/2個(トマト缶でもOK)
 ・カリフラワー……1/4房
 ・オリーブオイル……大さじ3
 ・白ワイン……1/3カップ
 ・塩・コショウ……少々





[作り方]
1.魚を三枚におろして腹骨を切り取り、皮に数本の切り込みを入れておく(焼いたときの丸まりを防止するため)。

2.スキレットにオリーブオイルと、つぶしたニンニクを入れて、弱火でじっくり温める。

3.ニンニクの香りが立ってきたら中火にして、魚を皮目から焼いていく。このときニンニクが焦げないように、魚の上に乗せておく。




4.魚の両面を焼いたら、カリフラワーとアサリ、トマトを入れて軽く炒める。




5.いったん強火にしてスキレットが十分に温まってきたら、白ワインを入れてフタをしめる。アクアパッツァ「暴れる水」の名前は、このときの油が跳ねてバチバチいう音からきている。




6.アサリの殻が開いたら、塩・コショウで味を調えて完成。カリフラワーの芯がまだ固くても、スキレットの蓄熱で食事中に熱が通っていくので大丈夫。




アクアパッツァのアサリと汁を残して、茹でたパスタをスキレットに移し、よくかき混ぜて乳化させれば、ボンゴレビアンコ風になります。

ただしスキレットでパスタを作る場合は、蓄熱でパスタが伸びてしまうため、パスタの芯を硬めに残して調理するか、お皿に盛り付け直すようにしましょう。



【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
ブログ「孤独のジビエ」http://kodokunogibier.blog.fc2.com/
Twitter:@rakurou21

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