東雲輝之【新鮮すぎる魚が食べたい。】-vol.52- 冬の闇夜に『クロソイの焼霜造り』

漆黒の冬の海で絶品の高級魚を釣ろう! 初心者でも楽しく釣って、おいしく食べる方法を、アウトドアライター・東雲輝之さんに教わる連載です。

冬の夜の海には、暗く寂しい独特の雰囲気があります。墨汁を溶かしたような海面に、ちらりちらりと光る月明かり。陸地から吹いてくる風は身を切るような冷たさですが、海面から立ち上る空気は未だなお、秋口のような生暖かさを感じます。そのような幻想的で不思議な冬の海で、夜の闇をその身に閉じ込めたような姿で現れるのが、知る人ぞ知る高級魚「クロソイ」です。

『クロソイ』ってどんな魚?

クロソイは日本全国の岩礁帯に広く生息している夜行性の海水魚です。特に北海道で多く見られ、タイが漁獲されない北海道では、「北の鯛(タイ)」として珍重される高級魚です。

分類上近種のメバルやカサゴと姿が似ており、また棲んでいる海域によっても体色にかなり違いがあるため見分けづらいクロソイですが、目の下の涙骨に3本の鋭いハリがあることから他の魚と判別することができます。

どこで釣れるの?

クロソイは岩の隙間に棲むロックフィッシュと呼ばれる魚の一種なので、磯や消波ブロックなどで釣ることができます。しかし、釣りに慣れていない人が、足場が不安定な場所で夜釣りをするのはとても危険なので、初心者の方は足場が安定している防波堤で、防波堤のつなぎ目や欠けている部分、潮を通すためのスリットになっている部分など、岩に隙間ができているような場所を、あらかじめ見つけておきましょう。

どうやって釣るの?

クロソイ釣りには、岩の隙間に仕掛けを滑り込ませることができるブラクリ仕掛けがオススメです。ブラクリと呼ばれる小さなオモリを、岩の隙間にゆっくり落としていき、底に付いたら「チョンチョン」と動かして魚を誘いましょう。もしクロソイが隙間の穴にいたら、真っ先に食いついてくるので、再び穴に潜り込まれないように急いで糸を巻いて釣り上げます。餌で誘っても反応がない場合は、その穴にはクロソイは棲んでいないと考えられるので、他の穴に移動しましょう。

クロソイは小魚などを食べる魚なので、餌はゴカイのような虫餌よりも魚の切り身などが効果的です。スーパーで値引きされているアジやイワシ、サバ、サンマなどの適当な青魚を購入し、刺身くらいの大きさに切ってから針に掛けましょう。

皮目をパリっと焼いて

クロソイ料理の定番と言えば、煮付けです。1:1に混ぜた酒と水でクロソイを煮て、十分に熱が回ったら、醤油、みりん、砂糖を2:1:1で味付けをしましょう。淡白な白身は濃いタレと絡んで非常に美味しくなります。クロソイはメバルに比べて身がプリっとしており、ポワレやムニエルなどの洋風料理にも向いています。





釣りたてのクロソイであれば、刺身でいただくのも最高です! ただし、クロソイの旨味は皮目の脂に詰まっているので、他の魚の刺身のように皮を引いては本来の味わいは楽しめません。かといって、クロソイの皮は弾力が強いので、そのままでは食べにくいのが難点です。

そこで、皮付きのまま切った身をガスバーナーで炙(あぶ)って、“焼霜造り”にしましょう。焼霜造りは皮だけに熱が通るので、身は刺身の食感を保ったまま、皮目の濃厚な旨味を堪能することができます。サクの状態で焼いてしまうと切った時に身が崩れてしまうので、必ず刺身にした状態で焼くようにしましょう。







【新鮮すぎる魚が食べたい。】は、毎週金曜日に掲載します。
 

文・写真・イラスト:東雲輝之(しののめ てるゆき)/1985年生まれ、福岡県北九州市出身。猟師&ライター。狩猟や釣り、養蜂など、自然から食を得て楽しむ“キャッチ&イート”をメインテーマとしたアウトドアライター。ジビエの流通やニホンミツバチ養蜂などの活動も行う。著書「これから始める人のための狩猟の教科書」、「イラストマニュアルはじめての養蜂」など(共に秀和システム)。
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