お酒はぬるめの燗がいい。日本酒取材のプロに教わるHOTで楽しむ酒器おすすめ5選

若い頃はキリッとした冷酒が好みだったけれど、オトナになって熱燗の美味しさに目覚めたというかたも多いのでは? そこで俄然こだわりたくなってくるのが、酒器。そこで酒食ジャーナリストの山本洋子さんがまとめた本『厳選日本酒手帖』から、おすすめの酒器を紹介していただきます。

温めて飲む酒で最も大事なのは、持ちやすいこと。な~んだと言うなかれ。熱燗を薄手のガラス器や錫器に注ぐと、放り出したくなるほど熱くて危険だ。燗酒は、昔ながらの日本の酒器が、素晴らしい力を発揮する。

漆器

どんなに凍てつく寒い時でも、優しく付き合えるのが漆器。
唇にも持つ手にもすべすべの滑らかさと温もりがホッと嬉しい。
機能的にも軽く、断熱性が高い優れもの素材。
どぶろくやにごり酒など、雪のような白さの酒を燗して飲む時は、漆器の独壇場! 
赤い漆器に白い酒を注ぐと、湯気まで感動的に映え、美しさに酔うほど。
黒い漆ならモノクロームでスタイリッシュに決まるので、テーブルでアクセントになり、酒をひときわ良いものに演出してくれる。

漆器

陶器

そして陶器。
備前焼のような釉薬を使わない焼き締めの器は、表面のザラリとした細かい凹凸が酒の味を円やかにする。
また、見るからに安定感があるどっしりした信楽焼などは「よっしゃ飲むぞ!」と力強い応援をくれるよう。
表面がゴツゴツした酒器ならば、滑り止め!?にもなり、飲兵衛に心強さも与えてくれる。

備前
信楽

磁器

吟醸系などスッキリしたタイプのぬる燗ならば、エッジの薄い磁器が良い。
薄く仕上げられた磁器の飲み口は、ぬるめの燗酒を極めてクリアに味わえる。
磁器の滑らかさが、酒を官能的に感じさせることも。
素材によらず、個人作家の器は、飲むだけでなく、見て、撫でて、愛でる美だ。
造り手の好みの酒が投影され、愛飲する酒が器の向こうに見えるようで面白い。

白磁

最後におすすめしたいのが杉の器。
樽形をした酒器は、秋田空港売店で売っている。
土産物的かと思いきや、杉そのものを繰り抜いたシンプルイズベストなデザイン。
爽やかな杉の香りで「一人樽酒」が楽しめる。
落としても絶対割れず、旅のお供にうってつけ。
これが500円もしないのだから、日本の酒器は安すぎる!


山本洋子(やまもと ようこ)/酒食ジャーナリスト 地域食ブランドアドバイザー。鳥取県境港市・ゲゲゲの妖怪の町生まれ。素食やマクロビオティック・玄米雑穀・野菜・伝統発酵調味料・米の酒をテーマにした雑誌編集長を経て、地方に埋もれた「日本のお宝! 応援」をライフワークにする。「日本の米の価値を最大化するのは上質な純米酒」+穀物、野菜・魚・発酵食、身土不二、一物全体を心がける食と飲生活を提案。地域食ブランドアドバイザー、純米酒&酒肴セミナー講師、酒食ジャーナリストとして全国で活動中。境港FISH大使。著書『純米酒BOOK』。モットーは「1日1合純米酒! 田んぼの未来を燗がえる!」。
www.yohkoyama.com
撮影:海老原俊之

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