すしがもっとおいしくなる! 銀座の名店に教わる、生わさびのクリーミーなおろし方

美味しいすしに欠かせない名脇役といえば、わさび。あなたは正しくおろせますか? 本日は、東京の人気店「銀座 鮨青木」主人の青木利勝さんに、わさびの風味を存分に感じられる、クリーミーなおろし方を教えていただきます。日ごろはチューブ入りのお手軽なわさびを愛用しているかたも、おいしい生わさびを手に入れて、ぜひ試してみてください。
わさびは地下茎が食用です。太く重みがあり、濃い緑色でみずみずしさがあるものが良質です。
品種や時季によって色や風味が違いますが、実は同じ一本でも上側と下側では微妙に違うのです。茎側をすりおろすと緑色が濃く、香りがよくて水気がありますが、尖った先端側は淡い緑色で辛みが強く、粘りがあってねっとりしています。どちらからおろし始めてもよいですが、私は茎側から使います。
また、わさびはおろし方でも味やなめらかさが違ってきます。軽やかに円を描きながらすりおろすと細かく口当たりのよいものになりますが、力を入れて直線方向に往復させると粗削りでなめらかさに欠け、風味も立ちません。わさびはおろし器に直角に当てずに、鉛筆を削るように斜めに当ててすりおろし、少しずつ位置を変えて均等におろしていきます。
わさびのおろし方
●その1
茎を短く切り落とす。茎の根元もすりおろせるので少し残しておく。切り口に粘りがあるものは質がよい。
●その2
側面の小さい突起を包丁で軽く削り、次に全体の皮を包丁の背で軽くこそげ取る。皮にも風味があるので多少残っていてもよい。
●その3
水洗いして水気を拭き取る。
●その4
強く押しつけず、やさしくスピーディに大きな円を描くようにおろす。粒子の細かいクリーミーなわさびを作るコツ。
●その5
時間をおきすぎると香りも辛みもとぶので、すりたてを。左が鮫皮製、右が銅製でおろしたもの。お好みのほうでよい。
わさびの保存法
ラップで包んで冷凍保存すると日持ちがよく、風味も保てる。次回は凍ったまますりおろし、残りは再び冷凍庫で保存する。
専用おろし器
風味のよいおろしわさびを作るには、鮫(さめ)皮製か銅製のおろし器で。鮫皮製も銅製も、新品は突起が鋭く尖っており、そのままおろすと粗削りになってしまいます。そこで、突起の先端を砥石で削ったり金づちで叩いて寝かせたりして調整します。また、鮫皮は水に浸すと接着剤がはがれやすく、銅製はさびやすいので、手入れには注意を。
鮫皮製
銅製
青木利勝(あおき としかつ)/東京・銀座「銀座 鮨青木」2代目店主。大学卒業後、アメリカへ遊学。帰国後、京橋の名店「与志乃」に入り、2年間修業ののち「鮨 青木」へ。父・青木 義氏のもとで学び、29歳で店を継ぐ。ていねいな江戸前ずしの仕事を基本に、「おいしい」を追求する。
http://www.sushiaoki.jp
撮影:合田昌弘
「銀座 鮨青木」主人の やさしく教えるすしのきほん

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