料理を美味しくする最終兵器、お気に入りの陶器を長く美しく使うポイントは“水”にあり!

美味しい料理を作ったら、どんな器に盛りつけるかを考えるのも楽しいものです。逆に、心惹かれる器を見つけたら、盛りたい料理が頭に浮かぶことも。毎日摂る食事と同じように、器は私たちの食生活に欠かせない大切なパートナーです。そこで、気に入った器をより美しく長く使い続けるための秘策を、東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長、野崎洋光さんに教わります。

陶器の温かい雰囲気は料理を一層おいしく見せてくれます。長く使い込むうちに色合いが変化することを「器が育つ」といいますが、それもていねいに使うからこそ生まれる表情。長く美しいまま使うための、陶器の扱い方をまとめました。

毎日の使い方は

「貫入(かんにゅう)」が入った器、粉引(こひき)など白い陶器は、普段から十分に水を吸わせてから料理を盛ります。これで、料理の汁気や油分がしみ込みにくくなります。

釉薬(ゆうやく)がかかっていなくても、備前(びぜん)焼のような濃い色の器は、汚れはそれほど目立ちません。しかし水でぬらすことでしっとりといい感じになり、料理が映えるよさもあります。

しまうときは、熱湯にくぐらせて乾かしてから

汁気の多い料理を入れたままにしたり、洗い桶に長時間つけておくと、汚れやにおいがつくのでなるべく早く洗います。洗剤が残らないよう十分に水洗いし、乾いたふきんなどの上に置いて乾かします。表面が乾いているように見えても水分を含んでいることが多いので、すぐに食器棚にしまわずに、完全に乾かします。

コツは、洗うときに最後に熱湯に通すこと。早く乾燥します。長く使わない場合は、湿気のない場所に収納しましょう。

初めて使うときは水を含ませる

高台(こうだい)の底をさわってざらつきが残る場合、そのままではテーブルや折敷(おしき)を傷つけるので、目の細かいサンドペーパーでなめらかにしてから使います。

釉薬をかけない焼き締め(やきしめ)の陶器(備前焼など)や、軟質の陶器(粉引、萩(はぎ)焼など)はそのまま使い始めると吸水し、醤油や調味料の色がしみ込んで取れなくなります。初めて使うときは、水に半日ほど浸してから使いましょう。

水に浸してすぐに色が変わるようであれば、特別に吸水しやすいタイプなので、米のとぎ汁で10分ほど煮沸する「目止め」をしましょう。土の粒と粒の隙間をぬかが埋め、汚れがしみ込みにくくなります。「貫入」と呼ばれる繊細なひびが入っている器も、「目止め」が必要です。

盛りつける15分~1時間くらい前に水に浸しておく。


しみがついてしまった粉引の皿。白い陶器はとくに、汚れのように目立つので気をつけたい。

野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業した栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない自分の料理哲学を、やわらかな語り口で、わかりやすく説く稀有な料理人として人気。本書でも、今の時代をとらえたレシピや考え方を指導。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。

撮影:高橋栄一

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