スギアカツキ【たまごのはなし】第25回 お腹も心も豊かに満たす「オーガニック卵」って何?

東京・銀座の有名な老舗文房具専門店の上階には、こんなに美味しい空間が広がっていたんですね。この連載では、「たまごが一番大好きな食材」という食文化研究家のスギアカツキさんが、その経験と好奇心を生かしたさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げます。

今日は、最近気に入っているレストランをきっかけに私が感じた「おいしいたまご」のお話をご紹介したいと思います。そのお店は、東京・銀座の老舗文房具専門店「伊東屋」の最上階、12階にある「CAFE Stylo」というカフェレストラン。「働く人を身体の中からサポートする」をコンセプトに、こだわりの食材と文具店ならではの知性漂う空間が、素敵な時間を提供してくれています。
※styloとは、フランス語でペンという意味。さすが文具店のレストラン。名前もオシャレ!

そしてここでの人気メニューの一つが、「たまご料理」。使われているのは、黒富士農場のリアルオーガニック卵という特別なたまごです。このたまご、高級スーパーなどに行けば手に入るのですが、1パック1000円を優に超える値段のため、このレストランでいただくまで、チャレンジできずにいました。

リアルオーガニックって何? という説明をする前に、どんなメニューなのかをご紹介してみましょう。



サーモンオムレツ ¥1,800
スモークサーモンとクリームチーズが入ったオムレツを主役に、パンと11階のFARMで育てた無農薬野菜を合わせたプレート。ふわふわぷるるんな食感とたまごの素朴な味をしみじみ味わえます。




サーモンベネディクト ¥2,000
スモークサーモンとソテーしたほうれん草、ポーチドエッグが乗ったベネディクト。欧米では定番メニューですが、日本でも人気が出ているリッチなたまご料理。オランデーズソースのライトイエローが、たまごの存在感をアシストしてくれます。

この他、サラダやハンバーガーなどでもリアルオーガニック卵が使われています。ではたまごの世界で言う“オーガニック”とはどのようなものなのでしょうか。

黒富士農場では、3年間無農薬・無化学肥料の「有機JAS認証」を受けた飼料や、おいしい天然水で鶏を育てること、平飼い飼育であることなど、環境面や食事において徹底したこだわりを実践しているそうです。この養鶏スタイルを継続させるのは、想像以上の努力とコストのかかることでしょう。
※黒富士農場のこだわりについて
http://www.kurofuji.com/item/organic/

実際に食べてみると、期待を裏切らないおいしさです。でもこれだけ高価であれば、おいしくて当然だろう、という見方もあるかもしれません。でもここで私が伝えたいのは、このたまごはそのおいしさ以上に、作る人や食べる人に「丁寧さ」を与えてくれているということ。例えば、「こんなに特別なたまごなのだから、できるかぎりシンプルにおいしく調理をしよう!」という熱意を、料理人に呼び起こしてくれるはずですし、食事を「ゆっくり味わって楽しもう」という豊かさを与えてくれると思うのです。

食べ物は、味だけではありません。このオーガニック卵は、作る人にも食べる人にも幸せをもたらしてくれるでしょう。「食を大切に」と願う人に、楽しくチョイスしてもらいたい逸品です。



【たまごのはなし】は、ほぼ隔週火曜日に掲載します。

 

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
Instagram:@sugiakatsuki
Twitter:@sugiakatsuki12

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