プロに教わる家庭料理の基本。これだけは覚えておきたい「三枚おろしの方法」

新しい環境での生活が始まり、お料理一年生も増える4月。そこで今日は料理の基本、三枚おろしの方法を、東京・南麻布の日本料理店「分とく山」総料理長の野崎洋光さんに教わります。なんとなく自己流でおろしていたというかたも、一度しっかりおさらいしましょう。

魚料理といっても、ご家庭では切り身を使うのが主流です。また一尾魚も鮮魚店やスーパーで買うとおろしてもらえるので、お願いすることも多いことでしょう。

しかし、基本の三枚おろしだけは覚えておきたいもの。上手になるコツは、何度もおろしてみること。魚の形を知って、出刃包丁を骨にあてながら切り進めれば、難しいことはありません。あじを例に覚えましょう。

なお、うろこが飛んだり血がキッチンにつくことがあるので、新聞紙を大きく広げてから作業すると楽です。

三枚おろしの方法

1.魚の頭を左に置く。包丁を寝かせて尾から頭に向けて、ぜいごをそぎ切る。裏側も同様にする。
※ぜいごはあじ特有のかたいうろこ。他の魚では、この作業は不要


2.包丁の切っ先で、尾から頭に向けて軽くこすり、魚全体のうろこをかく。裏側も同様にする。


3.包丁を少し斜めにし、胸びれの際から包丁を入れ、頭を切り落とす。


4.腹びれの内側を斜めに切り落とし、包丁の切っ先で内臓をかき出す。


5.ボウルにはった水の中で、腹の中を歯ブラシで軽くこすり、血や血合いを洗い流す。皮目、腹の中の水気をペーパータオルで拭き取る。


6.左手で身を押さえ、腹側から、包丁を寝かせて骨の上に刃を入れる。包丁の腹が骨にあたるようにしながら手前に引き、何度か繰り返して中骨まで切り進める。


7.左手で身を開き、包丁を立てて切っ先で中骨の上をなぞる。


8.包丁を寝かせ、背側の骨にそって切り進め、上身をはずす。


9.ひっくり返し、包丁を寝かせて背びれの上にあてる。包丁の腹が骨にあたるようにしながら手前に引き、何度か繰り返して中骨まで切り進める。


10.左手で身を開き、包丁を立てて切っ先で骨の上をなぞる。


11.包丁を寝かせて腹側の骨にそって切り進め、最後に包丁を立てて切っ先で下身をはずす。


12.上身、骨、下身の3枚におろした状態。


魚の断面図と包丁の入り方

写真ではわかりづらい包丁の動きも、断面図で図解するとイメージしやすくなります。頭に描きながら、繰り返しトライしてみましょう。

包丁は骨にそって、刃をやや上向きに寝かせます。刃を骨にあてるようなイメージで、身を中央の中骨まで切り離します(1)。中骨は盛り上がっているので、その上をなぞり(2)、次に刃をやや下向きに寝かせて、骨にあてるイメージで骨から切り離します(3)。裏側も同様です(4、5、6)。また、身は切り離すにつれて左手で開くのが、作業しやすいコツです。

アドバイス

この三枚おろしの方法は、あじやいわしのような、紡錘形をした魚に共通に使えるおろし方です。大きさは違っても、基本は同じです。しかし、ひらめやかれいのように平たい魚は、身の幅が広く三枚おろしにしづらいので、頭を落としたら、中央の骨の上に縦に切り目を入れてから、同じようにおろします。上身2枚、下身2枚、骨1枚の計5枚になるので、「五枚おろし」と呼ばれます。

野崎洋光(のざき ひろみつ)/東京・南麻布「分とく山」総料理長。1953年、福島県古殿町生まれ。武蔵野栄養専門学校を卒業した栄養士でもある。従来の考え方にとらわれない自分の料理哲学を、やわらかな語り口で、わかりやすく説く稀有な料理人として人気。本書でも、今の時代をとらえたレシピや考え方を指導。常に家庭料理の大切さ、家庭でしか作れないおいしさを唱えている。

撮影:高橋栄一

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