【コラム】おいしいぬか漬けライフを送るための3つのステップ

昔は多くの家庭にぬか床があり、毎日の食卓には、お母さんやおばあちゃんがぬか床から引っ張り出してくれた、おいしい漬物が並んでいたものです。今は、おいしいぬか漬けが食べたいと思っても、ぬか床は管理が大変そう、というイメージもあり、実家を出ると同時にぬか漬けから遠ざかってしまったという方も多いのでは?
 「ぬかと水を混ぜて作るぬか床。ぬか漬けを常備していれば野菜がほしいときの救世主に。菌のおかげで、生野菜よりもビタミンやミネラルが豊富になり、なによりおいしく食べられます」という料理家のワタナベマキさんに、おいしいぬか漬けライフを送るための基本を教えていただきましょう。

【STEP1】ぬか床を作る

【材料(作りやすい分量)】
生ぬか…1kg
水…1l
粗塩…120g
赤唐辛子(種は取り除く)…1本
昆布…3cm角1枚
山椒の実(あれば)…大さじ1
和がらし(粉)…小さじ1/2
捨て漬け用の野菜の芯やへたなど…適量
※玄米を精米する際に出る生ぬかはお米屋さんなどで手に入ります。市販の炒りぬかでも大丈夫。昆布や山椒の実を加えると風味が増します。


【作り方】
1.水と粗塩を鍋に入れ中火にかけて沸騰させる。塩が溶けたら、火を止めてそのまま冷ます。生ぬかはフライパンに入れて、弱めの中火で焦がさないように炒る。


2.全体が温まり、さらさらと少し軽くなったら容器に入れ、1の塩水を少しずつ加えて混ぜる。


3.赤唐辛子、昆布、あれば山椒の実、和がらしを加えてよく混ぜる。キャベツの芯やにんじんのへたなど3~4種類の捨て漬け用野菜を漬けて一晩おき、取り出す。捨て漬けを3~4回繰り返すとぬか床がなじんで安定してくる。


【STEP2】ぬか漬けを作る

ぬか床の用意ができたら、早速、ぬか漬けを作りましょう。
ぬか漬けにする野菜に粗塩(分量外)をすり込んで、ぬか床に漬けます。一日1~2回ほどかき混ぜて、ふたをして保存しましょう。
すりこむ塩は粗塩がおすすめ。素材の表面に傷をつけてくれるのでしっかり漬かります。一度に漬けるのは1~4種がおすすめ。食べごろは、漬けてから1~2日目、夏場は半日~1日。

長いも
長いも100gはたわしで皮をよく洗い、ねばりを軽くキッチンペーパーでふき取る。
縦半分に切り、粗塩小さじ1/4をすり込んでぬか床に漬ける。

なす
なす1本を2等分し、さっと水にさらし水けをふく。
粗塩小さじ1/5をすり込んでぬか床に漬ける(みょうばん小さじ1/5を塩と混ぜ、皮によくすり込むと、きれいな紫色のまま漬かる)。

きゅうり
きゅうり1本は両端を切り落とし、粗塩小さじ1/5をすり込んでぬか床に漬ける。

にんじん
にんじん1本は縦横にそれぞれ半分に切り、粗塩小さじ1/4をすり込んでぬか床に漬ける。

アボカド
アボカド1個は皮と種を取り除き、ぬか床の上のほうで漬ける。種のくぼみにぬかをきちんと入れるとよく漬かる。
食べるときに好みで白いりごまをふる。

キャベツ
キャベツの葉4枚は粗塩小さじ1/5をすり込んでぬか床に漬ける。食べるときに好みで白いりごまをふる。

かぶ
かぶ1個を2等分し、粗塩小さじ1/5をすり込んでぬか床に漬ける。

オクラ大葉
オクラ3本は、がくを取り粗塩小さじ1/2で板ずりをして表面のうぶ毛を取る。
再度、粗塩小さじ1/5をすり込み、大葉を1枚ずつ巻いてぬか床に漬ける。

しょうが
しょうが100gは粗塩小さじ1/2をすり込んで、ぬか床に漬ける。

【STEP3】ぬか床を正しくお手入れする

ぬか床は少しだけお手入れが必要です。
「これだけは」のポイントを習慣にしてしまえば難しくありません。何十年と受け継がれるぬか床を作りたいですね。


野菜を漬ける前後で1日1~2回かき混ぜる
野菜をぬか床に漬ける前、そして野菜を取り出した後に、ぬか床をかき混ぜる習慣をつけましょう。そうすればぬか漬けを作り続けている間はかき混ぜ忘れがありません。ぬか床の上下を入れ替えるように、全体をよくかき混ぜます。



温度や湿度変化の少ない常温で保存するのが基本
ぬか床が呼吸できる陶器の保存容器か、におい移りの少ないホーロー製やステンレス製などで密閉できるものを選びましょう。普段は温度変化が少ない常温(20~25℃)で保管し、1週間以上使用しない場合は冷蔵庫に入れて休ませることもできます。



長期間家をあけるときは塩ぶたをする
旅行などで長期間家をあけるときなど、ぬか床の管理ができないときは、何も漬けていない状態でぬか床の表面に塩を厚さ1cm程度敷き詰めて、冷蔵庫で保管します。帰ってきたらその表面の塩と、塩が接している部分のぬかを取り除いてからかき混ぜ、復活させます。



味が薄まってきたら足しぬかをする
ぬか床は使い続けるうちに水が出たり塩分が薄まったりします。水分が出てきたらくぼみを作って、たまった水をキッチンペーパーなどでふき取ります。味が薄まってきたら塩やぬか、昆布を加えたり、酸味が強くなったら粉がらしを加えるなど、味をみて調整してください。


こうしてみると、意外と気負わずにぬか漬けライフが送れそうな気がしませんか? 自分好みのぬか床を作って、色々なものを漬けてみたくなりますよね。「ぬか床」は漬け物のほかにも、さばや豚などの「ぬか炊き」に使ってもおいしくいただけます。ほかにも「漬ける」おかずのバリエーションが知りたくなったら、ワタナベマキさんの著書『漬けるおかず』を、ぜひチェックしてみてください。

 

ワタナベマキ/料理家。グラフィックデザイナーを経て2005年に「サルビア給食室」として料理の活動を始める。独創的でオリジナリティに溢れた、素材の組み合わせと、作りやすく、毎日のごはんに真似したくなるレシピにファンが多い。ナチュラルでスタイリッシュなライフスタイルにも定評がある。『冷凍保存ですぐできる絶品おかず』(家の光協会)、『アジアのごはん』(主婦と生活社)など著書多数。

撮影:新居明子