三ツ星シェフに聞く、和えもの酢のもの酒肴を作るときに大切な4つのポイント

家庭では、和えものや酢のものは頻繁に献立に登場します。見よう見まねでもそれなりに作れるものですが、ちょっとしたコツを意識するだけで、見た目も味もぐんと良くなるようですよ。東京・銀座の名店「銀座 小十」奥田透料理長に4つのポイントを教えていただきました。

1. 和えもの、酢のものの具は下味をつける

野菜や魚介など具になる材料は、そのままでは和え衣や合わせ酢となじまず、全体に味が調和しません。和えものの場合は、塩ゆでする、だしに浸して薄味をつける、下煮するなど、あらかじめ下ごしらえをして味を含ませてから、衣で和えます。酢のものなら、塩もみや、酢洗い、酢じめをしておきます。

なお、具が大きかったり厚い場合は、切り目を入れておくと、衣がよくからみ、合わせ酢も浸透しやすくなるだけでなく、食べやすくなります。


白和えの具は、だしに浸して味を含ませる場合もある。


酢のものに使うきゅうりを塩水に浸して、下味をつける。

2. 仕上げるのは、盛る直前

和えもの、酢のものは、仕上げてからだいたい10分以内が食べ頃。時間がたつと具から水分が出て味がぼやけ、料理の見た目も悪くなります。従って衣で和えたり、合わせ酢をかけるのは、いただく直前に行うのが鉄則。具はそれまでに冷ましておき、水気や汁気はきっちりと絞っておきます。

3. ボウルの中で形を整えて盛る

和えもの、酢のものは、盛るときの形が決まりにくい料理です。ボウルの中で和えたり混ぜる段階で菜箸と手で形作り、そのまま器の中へ移動すると、自然で美しく盛ることができます。その際、主役の素材が際立っているか、気を配りましょう。 

なお、和え衣の場合、衣と具とを均一には混ぜずに、ざっくりとラフに混ぜます。衣がついている部分と少なめの部分ができるほうが、口にしたときに変化に富んでおいしく感じられます。

盛りつける姿をイメージし、ボウルの中で形作る。

4. 酒肴は季節感を大切に

お酒をおいしくいただくための料理はまず、季節感を生かすことが第一。今では一年中なんでも手に入りますが、四季折々の旬の素材をお出しするほうが、興趣をそそります。どんなに手をかけて美しく仕上げても、季節感がずれていると興ざめです。さらに、少量を小粋に盛ること、季節の香りや歯ざわりのある素材を生かすこと。塩味、ピリ辛味でアクセントをきかせると、一段と酒肴向きになります。

奥田 透(おくだ とおる)/1969年静岡市生まれ。高校時代から料理に興味を持ち、静岡や徳島などで修業。99年に独立、静岡市に「花見小路」を開き、連日満席ながらも店を譲り、2003年に東京・銀座に「小十」を開店。ミシュランガイドでは、初年の2008年度版から三ツ星を守り続けている。日本料理の原点「だし」の味を決めるのは水であると、故郷・静岡の湧き水を毎日取り寄せるほど。おいしさへの追求心はとどまることがない。

撮影:高橋栄一

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