【コラム】「ラ・フランスだけじゃない」西洋なしの食べ頃の見極め方

そろそろ西洋なしのおいしい季節。和梨とは違い、追熟させれば、より甘くおいしくなる、とわかってはいても、つい我慢できずに早めに食べたくなっちゃいますよね。一番おいしく食べるためには、どう見極めればよいのでしょうか。
 おいしさのためには日夜いかなる努力も惜しまない、日本のフルーツの生産者と市場の職人さんたちから聞き集めた耳より情報満載の本『知ればもっとおいしい!食通の常識 厳選フルーツ手帖』から、西洋なしの種類や選び方について、紐解いてみましょう。

日本なしより甘みも香りも強く、独特のしっとりとした食感を持つ西洋なしは、古代ギリシャ、ローマ時代から栽培され、日本には明治初期に導入された。品種によって収穫時期が異なり、8月下旬から11月初めにかけて収穫される。食物繊維とカリウムが豊富で、のどの炎症に効果があるソルビトールを含み、疲労回復や消化促進の効果もある。日本なしと比べると水分が少なく、糖質が多いのも特徴だ。

ラ・フランス ~その名の通りフランス生まれ

温帯ヨーロッパや西アジア地域に原生していたと言われ、ドイツやイギリスで栽培が始まったのが16世紀ころ。ラ・フランスが日本に入ったのは明治30年頃だったが、見栄えが悪く、実が固くて不味かったため受粉用に使われた。その後、熟すと濃厚な甘みと滑らかな舌触りに変化することに気付き、「果物の女王」と呼ばれ人気品種となった。収穫後、常温で10日から2週間程度追熟させるのがポイント。美味しいものを選ぶポイントは形ではなく、やはり熟度が大切。

追熟でメルティング質が増加
収穫後の実は堅くて不味いが、常温で2週間程度追熟させると絶品の洋ナシに変わる。その仕組みは、デンプンからショ糖、果糖、ブドウ糖に変化し、特に果糖の含有率が高まると甘みが強くなる。また、ペクチンがゲル化することで舌触りよく、メルティング質と言われるとろみが増す。


出荷時期:山形10~11月/長野10~11月/山梨11月
大きさ:200~250g
登録品種名:「クロード・ブランシェ」
フランス原産

ル・レクチェ ~とろける食感と豊かな芳香が魅力

日本では明治36年頃、新潟県白根市の農家・小池左右吉氏がフランスから苗木を取り寄せたのが始まり。果実の大きさは350g前後、形はびんから短びん形で表面はややデコボコしている。熟すと黄色く艶やかさを出し、果皮にサビが少ないため、外観の美しさから「西洋梨の貴婦人」や「幻の洋梨」と呼ばれる。果肉は緻密で滑らかなうえ多汁。糖度は16度以上で豊かな芳香が高貴さを漂わせる。

追熟に時間要すため、見極め重要
ル・レクチェは追熟に他の品種より長い期間を必要とし、おおよそ40日から45日といわれる。追熟が進み、食べ頃になると果皮の色が緑がかった色から熟したバナナみたいな明るい黄色に変色する。同時に独特の芳醇な香りがしてきたら食べ頃の合図だ。


出荷時期:新潟11~12月/山形11~12月/福島11~12月
大きさ:350g前後
登録品種名:「ル・レクチェ」
交配:「フォーチュニー(フォルチュネ)」×不詳

オーロラ ~果汁たっぷり、とろけるような柔らかな食感

「ラ・フランス」より一足早く9月上旬から出回る早生種。生まれは米国ニューヨークで1980年代に入ってきた。甘みが非常に強く、きめが細かい。十分に熟した果肉は多汁でとろけるような舌触り。甘みと酸味のバランスが絶品で、香りも芳醇。果重は300g前後でびん形。追熟後は果実表面が黄褐色になり、食べ頃が分かりやすい。


出荷時期:山形8~9月/長野9月/北海道9月
大きさ:300g前後
登録品種名:「オーロラ」
交配:「マルゲリット・マリーラ」×「バートレット」

ヤーリー(鴨梨) ~見た目は西洋梨も食感は日本梨

原産地は中国。明治の初め頃に日本へ伝わった。出回り量は少なく、主に岡山県で栽培される。外観は西洋梨より丸みがある。収穫後は約1ヶ月追熟することで果実表面が黄色くなり独特な香りが出る。別名「香り梨」とも呼ばれる。食感は日本梨のようなシャリ感と歯ごたえがある。果汁が豊富で甘酸っぱい。果重は300~350g。


出荷時期:岡山10~2月
大きさ:300~350g前後
登録品種名:「ヤーリー」
交配:「ホクシヤマナシ」×「ヤマナシ」(推定)

西洋なしもさまざまな種類があるんですね。追熟のタイミングもそれぞれなので、種類に応じてベストなタイミングを見極めて、一番おいしい状態で食べたいものです。今回ご紹介した『知ればもっとおいしい!食通の常識 厳選フルーツ手帖』には、ほかにも桃やみかん、メロンやぶどうなど、おいしいフルーツを食べるために知っておきたい情報が満載です。

 

洋梨のパフェ:タカノフルーツパーラー
撮影:久保田彩子