スギアカツキ【たまごのはなし】第36回 LA発の卵料理専門店「エッグスラット(eggslut)」で感動した、新しい卵の食べ方

主役にも端役にも、贅沢な逸品にもとろけるスイーツにも、と変幻自在なたまご。定番から新顔まで、さまざまな調理法が工夫されていますが、今回はまた新しい魅力の発見です。この連載では、「たまごが一番大好きな食材」という食文化研究家のスギアカツキさんが、その経験と好奇心を生かしたさまざまなアプローチで「たまご」を掘り下げます。

先日、2019年9月のオープン以降話題となっているLA発の卵料理専門店「エッグスラット(eggslut)」に行ってまいりました。卵料理って、どこかクラシックで王道なメニュー(例えばオムレツとかプリンとかフレンチトースト)が人気を博すところもあり、あまり大きな期待はせずに足を運んだのですが、そこには大きな発見と気づきがありました。





実は最近、「エッグスラット」という卵料理が、レシピサイトや料理本などを中心に話題となっているのを、ご存じでしょうか? そうです、この料理を提案し、世に広めたのがこのお店なのです。確かにその店名からして、エッグスラット! 2011年に1台のフードトラックからはじまったお店は、アメリカ国内で今では5店舗。海外でもロンドンやクウェート、そして日本に上陸するほど急成長しているのです。

そして、気になるエッグスラットとは、こちらの料理。





シンプルな瓶の中に、発酵バターを使って丁寧に作られた「ポテトピューレ」が詰められ、その上にぷるるんとした「半熟卵」と青ねぎが乗っています。ジャガイモと卵が奏でるなめらかな形状と濃厚クリーミーな味わい。このバランスになぜ今まで気づかなかったのか、不思議に思ってしまうほど、文句なくおいしいのです。

そしてもう一つ、お店の看板メニューとして輝くのが、“エッグサンド”。極上のスクランブルエッグがあふれんばかりに挟まったグルメハンバーガーで、オススメは2種。LAで人気を博している定番の「フェアファックスサンド(写真中央)」と、ビーフパティと半熟目玉焼きも合わさった、日本限定の「ルートトゥエンティサンド(写真左)」です。





どちらにも共通しているのが、スクランブルエッグ。アメリカ本店のこだわりと同様、平飼い卵のみを使い、ファインダイニングでおなじみの低温調理法で作られています。





こだわりの平飼い卵を発酵バターと共にゆっくり加熱しながら細かく攪拌し、空気をたっぷり含ませながら仕上げていくため、極上のトロトロ感と柔らかさに、誰もが息を呑み(食べ物が口に入っていますが!)、大きな感動を抱くことでしょう。丁寧に調理された卵料理が、こんなにも気軽にハンバーガーとして味わえる。そんな地に足のついた幸せな時代が、確実に到来しているのです。

ちなみにこのお店でドリンクを頼む際に、勧められるのが、「オレンジジュース」。卵の黄色に、オレンジの橙色は、明るいエナジーを生みそうですが、栄養的にもこの組み合わせは優秀といえます。卵に含まれるたんぱく質や葉酸を効率よく取り入れるには、フレッシュなオレンジに含まれる「ビタミンC」の存在が重要です。

卵料理に、終わりなし。そして新たな組み合わせや食べ方は、おいしく食べたい、健やかでありたいと願う私達に、健全な知恵をも授けてくれています。

【店舗情報】
eggslut(エッグスラット)
東京都渋谷区代々木2-2-1新宿サザンテラス内
https://eggslut.baycrews.co.jp/



【たまごのはなし】は、ほぼ隔週火曜日に掲載します。

 

文・写真:スギアカツキ/食文化研究家。長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを幅広く学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)、女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)が好評発売中。
「みなさん、一番大好きな食べ物ってなんですか? 考えるだけで楽しくなりますが、私は『たまご』という食材に行きつきます。世界中どこでも食べることができ、その国・エリア独特の料理法で調理され、広く愛されている。そしてなにより、たまごのことを考えるだけで、ワクワクうれしい気分になってしまうんです。そこで、連載名を『たまごのはなし』と題し、たまごにまつわる“おいしい・たのしい・うれしい”エピソードを綴っていきたいなと思います」
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Twitter:@sugiakatsuki12

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